包帯を巻く恵里
兼城「うっ!」
恵里「あ 痛かったですか?」
兼城「バカやったね 本当に。 でも うまいね 恵里ちゃん。」
恵里「結構 好きなんです こういうの。」
兼城「そう。」
恵里「はい できました。」
兼城「ありがとう。 たいしたもんさ。」
恵里「ほら 野球部のマネージャーだったから。 軽いけがは しょっちゅうあり 慣れてるんです。」
兼城「なるほど。」
恵里「小さい頃は 小浜だから 診療所が 1軒あるだけ。 大抵のけがは 皆 自分の家で 手当てしてしまうんですよ。」
兼城「しかし 参ったな。」
恵里「え?」
兼城「利き手が使えないというのは参る。」
恵里「あ そうか。」
(戸が開く)
黒島「あのですね…。 実は ですね。」
兼城「どうしたの?」
黒島「なんか 食べさせて下さい。」
兼城「悪いな まだ 準備 出来てないさ。」
黒島「そうですか。」
兼城「沖縄の子ね?」
黒島「ええ。」
兼城「僕も けがしてて 何も出来ないさ。」
黒島「はい 分かりました。 どうも すみません。」
恵里「あの… もし私が作るのでよければ 何か 食べていきませんか?」
黒島「え?」
兼城「恵里ちゃん 出来るの?」
恵里「失礼ですね。 家の手伝いは 結構してたの。 座って下さい。」
黒島「あ…。」
料理中の恵里
兼城「ほう!」
恵里「どうぞ。」
兼城「すごいね。」
恵里「あ!」
黒島「ごちそうさまでした。 おいくらですか?」
兼城「金は もらえないさ。 素人の この子が作った料理なのに。 その代わり 今度 営業中に 来てちょうだい。」
黒島「ありがとうございます。 おいしかったです。」
恵里「そんな…。」
黒島「ありがとうございました。」
恵里「ありがとうございました!」
兼城「なにかね? あれは?」
恵里「さあ?」
兼城「よかったね 喜んでもらえて。」
恵里「はい。」