夜
恵尚「よいしょ…」
恵文「かわいい子さぁ」
恵尚「だから…」
恵文「こんな かわいい子が なんで… そんな つらい思いを しなければ ならんのかねぇ」
恵尚「う~ん …であるねぇ」
恵文「うん…」
台所
恵理「ごめんね わがまま 言って…」
勝子「ううん あぁ さっき 電話きていたさぁ 辻内さん」
恵理「あ 本当?」
勝子「うん 丁寧な… それは それは 丁寧な電話だったよ 何度も 何度も『よろしく お願いします』って 何度 何度もねえ」
恵理「そう…」
勝子「なんか 優しそうな きれいな声だったさぁ」
恵理「うん… きれいな人だよ」
勝子「そう… でも ウチで いいの? 何も 特別な事 できないけど…」
恵理「それで いいわけ 辻内さんは 愛子ちゃんに 普通の暮らしを 味あわせてげたいわけよ 朝ね… 朝起きると 愛子ちゃん まず お母さんの様子を見にくるって 起きて すぐよ」
回想
愛子「お母さん! お母さん!」
美帆子「おはよう」
愛子「おはよう」
回想終了
恵理「『子供は起きて すぐ 母親の事とか 考えたら 駄目』って…『今日は 何をしようとか 自分の事だけで いいのに それが 子供だのに』って…」
勝子「そう… であるねえ お母さんの気持 分かるさ」
恵理「うん だから 普通で いい いつもと同じ 古波蔵家で いいわけ… ね」
勝子「うん…」
祥子「つらいだろうね お母さん…」
居間
何処か行く愛子
恵尚 恵文「うん? あれっ!」
恵尚「愛子ちゃん…」
恵文「愛子ちゃん! 愛子ちゃん!」
恵尚「あれっ… あ…」
恵理「どうしたわけ?!」
恵尚「いや… 寝てると思ったら 突然 逃げていきよったよ 今…」
恵理「私 行ってくる!」
恵尚「うん? 俺も行こうかねえ?」
恵文「恵尚 恵理に任せなさい」
勝子「であるねぇ」
恵尚「そりゃ そうだね」
玄関前
恵理「愛子ちゃん! 愛子ちゃん!」