連続テレビ小説「カーネーション」第72回「薄れゆく希望」【第12週】

あらすじ

昭和19年9月。ひき手がおらず、だんじりは中止になってしまう。糸子(尾野真千子)の長女・優子は相変わらずの軍国少女ぶり。次女・直子は、来年は自分がだんじりをひくと幼いながらに強く決意している。糸子は、有事に備えて名札を縫いつけた服に抵抗を感じる。ある日、久しぶりに勘助(尾上寛之)が姿を現す。しかし、勘助は糸子に別れを告げないまま再び出征していく。間に合わないと知りつつ、勘助を追って糸子は走り出す。

72ネタバレ

小原家

居間

木之元「善ちゃん 今年のだんじりは… 中止になってもうた…。 ほんま 堪忍や! いや わしのせい ちゃうで。」

糸子「別に おっちゃんのせいや 言うてへんやん。」

木之元「い~や。 ほんでも その目ぇは わしを責める目ぇや。」

糸子「責めてへん。 悔しいんや。 だんじりが のうなるやて…。」

<言うたら 燃料が切れてもたんです。 あの 大きいて 重い重い だんじりが走るには ようさんの男の手ぇと足 それも しっかり 御飯 食べて 骨と肉の みっちりしたんが そろてんと あかんのに…>

オハラ洋装店

糸子「それが みんな 戦地に 取っていかれて こんな貧相な ズボン下 はかされたあげくに サイパンで 吹き飛ばされたり グアムで 燃やされたり してんやもんな。」

(ため息)

糸子「はあ~ アホらし!」

井戸

優子「エイッ! エイッ! ヤアッ! ヤアッ! ヤアッ!『アメリカ兵を 刺すと思て 刺せ』って 兵隊さんが言うんや。 せやから『ヤアッ!』って 一生懸命 やるんや。」

太郎「偉いな。 もともと 大東亜戦争ちゅうんは アメリカとイギリスから アジアの圧迫民族を解放するために 始まった戦争なんやで。 僕のお父ちゃんも 自分らのお父ちゃんも よその国の人らを助けるために 戦うてるんや。」

優子「立派やなあ!」

「立派やなあ!」

太郎「僕も はよ 予科練に入りたい。 立派な飛行兵になって お国に 尽くしたい。」

八重子「待たしいたなあ。 さあ 帰ろか。 ほな 優ちゃん また明日なあ。」

優子「さいなら おばちゃん! さいなら 太郎にいちゃん!」

<子供らは 学校で 人の殺し方と 自分の死に方ばっかし 教えられてて 国民は いつ 死体になっても ええような 準備ばっかし させられて…>」

小原家

2階 寝室

糸子「うんざりや…。」

直子「お母ちゃん。」

糸子「うん?」

直子「何で だんじり 無くなったん?」

糸子「来てみ。 男の人らが 皆 戦地 行ってしもてるやろ。」

直子「うん。」

糸子「せやさかい 曳く者が いてへんねん。」

直子「ほんなら 女が曳いたら ええやんか。」

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