天野家
大吉「とにかく この現状を打破する方法は 一つしかないと 俺は思う。」
黒川「どうしても別れたいの? 分かんないなあ…。 いつ 何で嫌われたのか。 僕の何が いけなかったんだろう。」
春子「そのままでいいの 正宗さんは。 変わらなきゃいけないのは 私の方なんです。 そして 変わるためには 別れなくちゃいけないの。 一度 捨てた町に戻って 母や 昔なじみと向き合って 改めて 思ったの。 私自身が変わるためには 東京の暮らしを 捨てなくちゃいけないって。」
黒川「僕も変わるつもりさ。 一緒に変わればいいじゃないか。」
春子「それは駄目よ。 ここで一緒に暮らすには あなた 私の事 知り過ぎてる…。 正宗さんは 本当の私を知ってる。 だから 一緒にいると 本当の私に 見られてるような気になるのよ。 分かるでしょ?」
黒川「分かるよ。」
<分からない。 大吉は疎外感を感じていました>
黒川「ホントの君を知ってるのは 確かに 世界中で僕だけだ。」
<何なんだ この敗北感は! 試合に勝って 勝負に負けたような この感じ。 俺の知らない春ちゃんを この野郎は知っている。 この癖っ毛の童顔野郎め! いや 待て待て 逆に こいつの知らない 春ちゃんの秘密を俺は…>
回想
大吉「春ちゃんが町を出てった いきさつを聞きたいって あんたが言うから集まったが こっちも しゃべりたくって ウズウズしてんだ。」
回想終了
<全部 しゃべってしまった! この間 スナックで得意気に。 ああ… 俺は おしゃべり豚野郎だ>
(判子を押さない黒川)
大吉「おい!」
黒川「ごめん ごめん 春子さん。」
春子「…何?」
黒川「せめて クリスマスだけでも3人で過ごせないかな。」
春子「駄目よ。」
黒川「頼むよ。 25日の朝には帰るから。」
春子「駄目です。」
黒川「駄目ですって…。 じゃあ サンタクロースは?」
大吉「…サンタクロース?」