スナック・梨明日
(電話の呼び鈴)
ユイ「もしもし 梨明日(りあす)です。 あっ アキちゃん。 あ… ちょっと待ってね。 何か『手紙読んだ』って。」
大吉「手紙!?」
春子「いいから。 もしもし。」
黒川家
アキ「読んだよ。 感想? びっくりして とにかく びっくりして パパと御飯食べてた。」
スナック・梨明日
春子「何それ 意味分かんないんだけど。」
黒川家
アキ「『じぇ!』が 10個じゃ足りねえほど びっくりで ちょっと理解するのに 時間かかると思う。 でも 一つだけ言わせて。」
スナック・梨明日
春子「何?」
黒川家
アキ「ママ かっけえ~!」
スナック・梨明日
春子「アハハハッ あ~ ありがとう。」
黒川家
アキ「こちらこそだ。『潮騒のメモリー』が ママの歌だったなんて。」
電話・春子『いや ママの歌ではないけどね。』
アキ「ママが歌ってんだから ママの歌だべ!」
スナック・梨明日
春子「パパ 元気?」
電話・アキ「うん。」
黒川家
アキ「相変わらず イラッと来るほど 元気だ。」
スナック・梨明日
春子「ああ そう。 まあ よろしく伝えて。」
黒川家
アキ「あのさ おら 目標が出来た。」
電話・春子『目標?』
アキ「今まで ユイちゃんが こっちゃさ来るまでとか…。」
スナック・梨明日
電話・アキ『鈴鹿ひろ美みでえに なりでえって思って 頑張ってきたべ。 でも もう一つ 新しい目標が出来た。』
春子「何よ。」
黒川家
アキ「おら ママみでえな歌手になりでえ!」
スナック・梨明日
春子「駄目よ ママなんて 顔も出せない影武者だよ。」
黒川家
アキ「んだけど ママの歌が パパの心さ響いて それで 2人が結婚して おらが生まれたんだもん。」
スナック・梨明日
電話・アキ『ママの歌がねがったら おら この世さ生まれてねえんだぞ。』
黒川家
アキ「だから おら そういう 人の心さ響く 歌っこ歌いでえ。 何万枚も売れなくてもいい。 そのかわり ちゃんと 一人さ届く 歌っこ歌った ママみでえな歌手に なりでえんだ!」
スナック・梨明日
春子「…。」
電話・アキ『ママ? 聞いてるか? ママ。」
春子「あ~ ごめん! 大吉さんの『GHOSTBUSTERS』が うるさくて 聞こえなかったわ!」
大吉「いやいや えっ!? そんな そんな…。♬『(Ghostbusters)』」
春子「フフフッ もう一回 言ってよ。」
電話・アキ『やんだ。』
春子「ケ~チ。」
黒川家
アキ「エヘヘッ。」
スナック・梨明日
春子「フフフッ。」