病院
(はしゃぐ声)
アキラ「はい。」
「ありがとうございます。」
「すいません 私たちも下さい。」
アキラ「もちろん。」
「ありがとうございます。 わ~ すごい!」
榎木「バンドのボーカルだって。 まだレコードは出してないけど 人気あるんらしいよ。」
「この前のも見に行きました。」
華「足は どうしたの?」
榎木「ファンが興奮して ステージから引きずり降ろして骨折。」
華「えっ 何それ! どういうこと?」
榎木「う~ん ロカビリー? …では ありえることみたい。」
華「ロカビリー?」
1950年代初期 アメリカ南部で ロカビリーは生まれた。 代表的な歌手は エルヴィス・プレスリーである。 日本でも若者を熱狂させ コンサートでは もはや演奏でどころではない騒ぎであった。
アキラ「ありがとう。 頑張るよ。」
華「うわっ… 気持ち悪い。」
古山家
吟「そんなに焦らんくてもいいんじゃないの?」
音「よく言うわ。 若い時 あんだけ 結婚したいって騒いどったくせに。」
回想
吟「東京なら ようけ残っとるわ… 次男がね。」
吟「先を越されたわ。」
吟「あん時は あん時。 今は時代が違うわ。」
音「はあ… 出た。 今 みんな それ言うね。」
吟「テレビに洗濯機に冷蔵庫 スーパーマーケットも出来たわ。 一度に全部そろうから便利。 あんた 行ったことある?」
音「あれ 便利ねえ。」
吟「ねっ? 知らんうちに みんな変わっとるの。 女性の生き方も あたしらの時とは違う。」
音「そうかもしれんけど… 華には幸せになってもらいたいの。」
吟「好きな仕事して 幸せじゃないの?」
音「うん… 温かさの中で 人生 生きてほしい。 ただ それだけ。 ふう…。 んっ!」
病院
院長室
院長「若い子たちが取り合いで けんかになってんだ。」
華「私は もっと 重症の患者さんに 時間を割きたいです。」
院長「そう それ! その 君の生真面目さ いいね~。 人気者に浮かれない。 君しかいない! 1週間だけだから。 なっ? 頼む!」
病室
華「どうして 私が…。」
アキラ「あっ いててて…。 もう少し優しくしてよ。」
華「大げさです。 終わりました。」
アキラ「いつもの人は?」
華「私が担当になりました。」
アキラ「ああ…。 君さ… どうして イラついてるの? お肌に悪いよ。」
華「お大事に~。」