五年後 式典運営協議会
鈴木「ハハハ…『東京五輪音頭』か。 面白いな。 日本ならではだし みんなで 盛り上がれるし プロモーションに最適だ。」
酒井「木枯さんは大衆の心をつかむ天才ですから いけると思います!」
鈴木「異論はない。 問題は オープニングの曲だな。 彼を選んだ理由は何だ? 戦時歌謡の実績か? オリンピックは 世界中の人々が 宗教や政治を越えて集う 平和の祭典だ。 彼は ふさわしいか?」
酒井「私は関西出身ですが『六甲おろし』は 阪神ファンには欠かせません。 巨人軍も 新たな応援歌を依頼したようです。」
鈴木「ライバルと同じ作曲家にか?」
酒井「本当に あいつら 節操がない! …と言いたいところですが 我が慶応も早稲田の『紺碧の空』が すばらしすぎて同様の行動をしています。 古山さんの曲は 人の心を一つにする唯一無二の力があります。 私は 彼を推します!」
鈴木「君の熱い気持ちは理解するが… 国民の感情がな。 彼の曲は 不幸な時代の象徴でもある。」
酒井「だからこそです!」
鈴木「わざわざ思い出さずとも 我わらの心に刻まれてる。 血のにじむ努力で 日本は ここまで来たんだ。 スポーツの曲が得意ってだけじゃ 説得力がない。」
酒井「『長崎の鐘』部長も ご存じでしょう?」
鈴木「知ってるよ。 名曲だ。」
酒井「ならば もう一度 一人で目を閉じて聴いてみて下さい。『長崎の鐘』には 平和への祈りが込められています。 その上で ご決断下さい!」