夕食
五郎「よし…。 ごはん出来ました!」
梅「は~い。」
光子「あら おいしそう!」
五郎「無理言って作らせてもらって すみません。 じゃあ…。」
光子「主よ この食卓を祝したまえ。 アーメン。」
2人「アーメン。」
一同「頂きます。」
梅「器用なのに 何でだろう?」
五郎「うん?」
梅「こっちに来て もう7年? 我慢も限界。 今度の試験に合格できんかったら 私にも考えがある。」
五郎「えっ!? えっ?」
光子「おいしい。」
古山家
玄関
三隅「ごめんくださ~い!」
音「はい。」
三隅「どうも! 私… こういう者でございます。」
裕一の仕事場
三隅「先生しか この映画の主題歌を 書ける人はおりません! この映画は 海軍航空隊の予科練習生を主題とした映画えであります! 題名は『決戦の大空へ』。 予科練のたくましい若者と それに憧れる病弱な少年を 原 節子演じる 姉の目を通して描きます!」
裕一「えっ? 原 節子さんですか!?」
音「すごいですね~。」
裕一「ねっ!」
三隅「あ~ 奥様 わざわざすみません。 今回の作品は気合いが入っとります! 作詞は西條八十先生に頼みました! 曲は誰に書いて頂こうかと思案した時に 巨匠の小山田先生も浮かびましたが 私は… 私として 戦時歌謡の第一人者として あの『露営の歌』『暁に祈る』の 名曲を手がけた古山さんに どうしても 是非とも お願いしたいと思っております! 引き受けて頂けますか!?」
裕一「いや… えっと… 本当に あの 光栄なんですけど… えっと…。」
三隅「はい…。」
裕一「(せきばらい)」
三隅「あっ! なるほど~。」
音「あっ!」
裕一「えっ?」
部屋を出る音
裕一「音? 音?」