喫茶店 竹
保「はい どうぞ。」
裕一「お休みの日に 本当にすみません。」
保「僕だって たまには コーヒーいれたいんだよ。 大豆だけどね。」
裕一「うん! いや 大豆でも 保さんがいれると おいしいです。」
保「ありがとう。」
ラジオ「『大本営 陸軍部発表…』。」
保「歴史は繰り返す。」
裕一「うん?」
保「人類は生まれてから ず~っと戦ってる。 変な話 ギリシャ神話では 神々だって戦ってるんだから。 どうしてだろうね?」
裕一「いや… う~ん… 生きるための本能ですかね?」
保「さあ? 僕には分からないけど 早く戦争が終わって おいしいコーヒーがいれたい。 それだけが僕の望み。」
古山家
裕一の仕事場
台所
裕一「似合わない?」
音「フフフ…。」
裕一「フフッ。」
音「少し待ってて。 今 お芋 ふかしてるから。」
裕一「うん?」
音「お昼ごはん 持っていって。 そろそろかな?」
玄関前
裕一「じゃあ… 行ってくる。」
華「お父さん 帰ってくるよね?」
裕一「うん! 鉄砲も撃てないお父さんたちが 呼ばれた場所だから 危険はないよ。 安心して。 ねっ 華。」
華「うん。」
裕一「音… すまん。 行ってくる。」
音「あなたの音楽で 兵隊さんたちを勇気づけてきて下さい。」
裕一「ありがとう。 では… 行ってまいります。」