報国音楽協会
山崎「5日後 出発です。 緊急の場合もあるので 東京を離れないよう お願いします。」
裕一「はい。」
山崎「小山田先生より ご伝言を預かっています。『この非常時に 音楽家として 国に忠誠を尽くし 命を懸けて戦う将兵に こちらも命をもって応えるのが国民の務めである。 前線でも貴殿の活躍に期待する』。」
古山家
裕一「ただいま。」
音「お帰りなさい。 どうしたんです? その荷物。」
裕一「少し いい? 慰問に行けと 命令が下った。」
音「どこへ?」
裕一「分からない。 機密事項だから 僕も知らされてない。」
音「ええ…。」
裕一「ただ 外地であることは間違いない。」
音「いつから?」
裕一「5日後。」
音「そんな急な…。 期間は?」
裕一「いや…。」
音「戦況… よくないんでしょ?」
裕一「みんな 頑張ってる。 僕だけ逃げるわけにはいかない。」
音「逃げてません。 曲を作ってるじゃない。 いっぱい作ってるじゃない!」
裕一「音。」
「古山さん 電報で~す。」
玄関
音「お世話さまです。」
報国音楽協会
浩二からの電報は まさが倒れた知らせでした。
山崎「お待たせしました。 軍の返答は ご母堂様は それほどのご重体ではないので 予定どおり出発してほしいとのことです。」
古山家
音「お帰りなさい。」
裕一「母さん そこまで悪くないみたい。」
音「はあ… よかった。」
裕一「だから… 予定どおりに出発になる。」