『1か月後 ようやく水野さんと中井さんは 前線に行くことが許された 別れ際に水野さんから詞を託された』。
『雨期に入った。 来る日も来る日も雨である 洗濯屋に出した衣類は カビが生えて 出す前より汚い』。
(物音)
裕一「わっ わっ! あっ あああ…。 待て! あっ あっ…。」
『サソリは ほうきで外に出した』。
裕一「お~ そうそう…。」
『水野さんと中井さんも帰ってこない。 心配だ ビルマに来て 2か月がたった』。
『まだ戦地に行く命令が来ない。 それほど戦況が悪いのであろうか このままでは 日本をたった意味がなくなってしまう』。
(ノック)
裕一「はい。」
大倉「大蔵です。 夜分遅く失礼します。 よろしいですか?」
裕一「あ~ もちろんです。 どうぞ。」
大倉「失礼します。 いや… すごい雨ですね。 失礼します。」
裕一「これ… あの…。 よかったら どうぞ使って下さい。 何か戦況の変化でもありました?」
大倉「あ~ いや そうではないんですが…。 先生は 福島の出ですよね?」
裕一「はい。」
大倉「藤堂清晴さんって ご存じですか?」
裕一「し… 小学校の恩師です。」
大倉「そうですか~。」
裕一「はい。」
大倉「藤堂さん… いえ 藤堂大尉は ビルマにおられます。」
裕一「ビルマに?」
大倉「ええ。 私も人づてに聞いただけですので 詳しいことは分からないのですが よく先生の話をされているようです。 深いご縁があったようですね。」
裕一「いや… と… とっても!」
大倉「では 藤堂大尉の配属先を 調べておきますね。」
裕一「ありがとうございます。」
大倉「おやすみなさい… あっ これ。」
裕一「ありがとうございます。 おやすみなさい。」
大倉「おやすみなさい。」