玄関前
布美枝「ご苦労さまでした。」
豊川「それでは 失礼します。」
修平「ご苦労さまです。」
(小鳥の鳴き声)
修平「布美枝さん 今の人は 誰かね?」
布美枝「豊川さんですよ。 お父さん 何度も お会いに なっとるじゃないですか?」
修平「連れの娘さんは 初めてだな。」
布美枝「新しい担当さんです。」
修平「へ~え! そげか! う~ん! ♬『コラソン デ メロン デメロメロメロメロン』!」
布美枝「お父さんったら 美人に弱いんだから。」
小学校
教室
(子供達のはしゃぐ声)
子供1「あの子が 水木しげるの娘だって。」
子供2「え どの人?」
子供1「あの人。」
子供3「へえ わりと普通だね。」
智美「あんなの気にしない 気にしない。」
藍子「うん。」
子供達♬『ゲッ ゲッ ゲゲゲのゲー 朝は寝床で グーグーグー』
男子1「お前 よく遅刻すると思ったら 『朝は寝床で グーグーグー』なんだな。」
藍子「え?」
女子1「村井さん 絵が上手だけど お父さんが漫画家だったら 当たり前だね。」
女子2「いいなあ うちも 漫画家だったら よかったのに。」
女子3「村井さんちって お金持ちなの?」
藍子「そんな事ない。」
女子3「漫画家は お金持ちだって聞いたよ。」
男子2「うわ~! 金持ちのくせに チビた鉛筆 使ってんなあ。」
智美「よしなよ。」
男子1「うちの母ちゃん 言ってたぞ 水木しげるの漫画は 嘘ばっかりだって。」
智美「何でよ!」
男子1「妖怪とか お化けは 本当には いないんだからな。」
智美「いないって 証明できるの?」
男子1「いるって 証明できるのかよ!」
智美「藍子ちゃんのお父さんに 聞いてみる?」
藍子「智美ちゃん いいよ。」
智美「でも!」
子供達♬『ゲッ ゲッ ゲゲゲのゲー 朝は寝床で グーグーグー』
水木家
客間
布美枝「すいません。 そしたら 明日にでも伺います。 はい。 ごめんください。」