連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第121話「戦争と楽園」

玄関

村尾「大きな声 出す事 ないじゃありませんか。」

絹代「あんたが しつこく言うからです。」

村尾「私は 老人クラブの事を 知って頂きたくて…。」

布美枝「老人クラブの勧誘か…。」

村尾「楽しい行事が いろいろ あるんですよ。 その説明に伺ったんです。 社会参加にもなるし レクリエーションで お友達も増えるし。」

絹江「そげな事は やりたい人だけが やれば よろしい。」

村尾「でもね おばあちゃん 入会して 生きがいを見つけた人も 多いんですよ。」

絹代「しつこい! 私の生きがいを 他人に決めて頂かんでも結構です。」

村尾「おばあちゃん…。」

絹代「あなたに 『おばあちゃん』と 呼ばれる筋合いはない! 帰りなさい!」

村尾「まあ!」

(喜子の笑い声)

布美枝「し~っ!」

村尾「奥さ~ん…! あんまり失礼じゃありません?! 同じ町内会のよしみで 私は 親切心で お話に伺ったんです。 それを 押し売りみたいに!」

布美枝「はい…。」

絹代「老人クラブだろうが ナイトクラブだろうが 入りたければ こっちから 頭 下げててでも 入れてもらいますよ。 親切の押し売りは お断りです!」

村尾「まあっ 失礼な~!」

布美枝「すいません…。」

絹代「布美枝さん!」

布美枝「はい!」

絹代「悪い事もしとらんのに 謝る必要は ありません!」

布美枝「はいっ…。」
(怒る村尾と喜子の笑い声)

台所

布美枝「町内会の人 怒っとったなあ…。」

佐知子「お母さん また やってたでしょう。」

布美枝「聞こえました?」

佐知子「この間も 近所の人が どなり込んできたでしょう。 家の前に 置いてた物を 勝手に捨てられたって。」

布美枝「その前は 叱られた子供が 熱を出した。 その前は クラクション鳴らした車を カバンで叩いた…。」

佐知子「あっちの もめ事も お母さん こっちの けんかも お母さん。 布美枝さんも 頭 下げて回って 大変ねえ。」

布美枝「でも どれも もっともな話なんです。 通り道に 荷物が出てたら 危ない。 悪い事をした子供は よその子でも 叱らなきゃいけない。」

佐知子「でも 正しけりゃ いいってもんでもないから。」

布美枝「ええ…。 あ 今日 お母さん達と 夕飯 食べるんです。 よかったら 一緒に どうですか? お兄さんも呼んで。」

佐知子「遠慮しとくわ。」

布美枝「たまには 一緒に…。」

佐知子「帳簿も つけ終わった事だし 今日は…。」

絹代「佐知子さん。」

佐知子「はっ…。」

絹代「雄一は どげしとるの? ちっとも 顔 見せんで! 名前だけでも役員なんだけん たまには 来るように 言ってちょうだい!」

佐知子「はい…。」

<イカルと あだ名される絹代には 誰も太刀打ちできないのでした>

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