連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第134話「妖怪はどこへ消えた?」

水木家

玄関前

布美枝「何が変わったんだろう?」

ディレクター「水木しげるじゃ もう古かったね。」

インタビュアー「あんな かび臭い話じゃ チャンネル 変えられちゃいますよ。」

ディレクター「先生の話は 短くカットして 若手お笑いスターの心霊スポット探検でも 目玉に持ってくるか。」

インタビュアー「今更 『鬼太郎』でもないですしね~。」

(笑い声)

布美枝「ひどい…。」

客間

布美枝「お父ちゃん?」

茂「ああ。」

布美枝「どげしたの? そげな所で。」

茂「いや…。」

布美枝「今日 戌井さんの奥さんに 会ってきました。」

茂「元気にしとられたか?」

布美枝「ええ。」

茂「戌井さんとも しばらく会っとらんなあ。」

布美枝「また 漫画の仕事 始めるんじゃないかって 奥さん 言ってました。」

茂「ああ。 そりゃええな。 あの人から 漫画を取ったら 何も残らん。」

布美枝「はい。 お茶 入れますね。」

茂「ああ。 しかし 近頃の人達は 妖怪でも 損得で考えるんだな。」

布美枝「何の話です?」

茂「今日 来た テレビの人達だ。 妖怪のご利益を教えろと言うんだ。」

布美枝「ご利益ですか?」

茂「うん。 得する話をせんと 人は興味を持たんと言うんだが…。 おかしな理屈だ。」

布美枝「そげな人達は 勉強して 出直してこいって ガツンと言ってやったら いいんですよ。」

茂「おっ 勇ましいな。 ハハハ。 けど 仕事だけん そうもいかんわ。 相手の期待にも 少しは応えんといけん。 せっかく 妖怪に 興味を 持ってくれとるんだけんな。」

布美枝「はい。」

茂「やっぱり 漫画だ。 漫画でないと 思う事は伝えられん。」

仕事部屋

<けれど それから しばらく経っても 注文は途絶えたままでした>

台所

(物音)

藍子「お父ちゃん また あの部屋?」

布美枝「展示品の入れ替えだって。 物置にしまってあった箱 持って 入っていったよ。」

(足音)

喜子「あ~ お腹 すいた!」

布美枝「ドーナツ あるよ。」

藍子「もう よっちゃんも たまには手伝いなよ。」

喜子「え? また今度ね。 今 修学旅行の図案 考えてるんだ。」

藍子「図案って 何?」

喜子「フフッ 修学旅行の旅のしおり。 私 表紙の絵 描いてって 頼まれたの。」

布美枝「あら すごいじゃないの。」

喜子「絵は 下手なんだけどね…。」

藍子「よっちゃん しおり係なんだ。」

喜子「まあ 面倒だけどね。 でも 修学旅行 ちょっと楽しみになってきた。」

布美枝「そう。」

喜子「京都だから お寺の絵っていうのも 平凡だし…。」

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