絹代「茂の事で 頼みたい事が あるんだけど。」
布美枝「はい。」
絹代「漫画の仕事は 勤め人と違って 毎月 決まったもんが 入ってくる訳ではないけん 締めるところは ビシッと締めて やりくりして。」
布美枝「はい。」
絹代「東京は 野菜が高いけど 健康のためだけん 必ず たべさせて。」
布美枝「はい。」
絹代「野菜には 寄生虫の卵が ついとるかもしれん。 洗剤つけて よ~く洗ってね!」
布美枝「はい。」
絹代「東京には 兄の雄一がおる。 何かの時には 助け合って 仲よく やってちょうだい。」
布美枝「はい。」
絹代「え~っと それから…。」
修平「そげに いっぺんには 覚えきらんだろう。」
絹代「めったに会えんのですけん 今のうちに 伝えておかんと! それから 茂は 嫌がるかも しれんけど 外に出る時には 義手をつけるよう 布美枝さん からも 言ってちょうだい。 あとは え~っと…。」
修平「おい!」
絹代「もう 何ですか?!」
修平「ええ加減 茂を起こさんと 汽車に乗り遅れ~ぞ。」
絹代「あっ! こげな時間!」
布美枝「そしたら 私が 起こしてきます。」
絹代「あんたには まだ無理だけん。 ふんっ!」
修平「いろいろ 細かい事を言って 面倒だと思うかもしれんけど…。」
布美枝「いいえ。」
修平「お互い まだ 知り合ったばかりだけん ちょっとずつ 分かり合ったら ええわ。」
布美枝「はい。」
修平「うん。」
2階
絹代「茂! いつまで寝ちょ~だ! さっさと起きれ! 早こと起きれ! こら この だらず息子が!」
玄関前
茂「ほんなら 行くけん。」
修平「ああ。」
絹代「しげさん 手 つけていきなさい。」
茂「ええよ。 煩わしい。」
絹代「誰に見られるか 分からんよ。 布美枝さん…。」
修平「まあ ええ。 元気でな…。」
茂「ああ。」
絹代「仕事 気張りなさいよ!」
茂「ああ。」
絹代「くれぐれも さっき話した事 忘れんで。」
布美枝「はい。」
<布美枝は 茂の故郷 境港を後に 東京の生活へと 踏み出していったのです>