連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第68話「連合艦隊再建」

美智子「この間の 抗議団体。」

日出子「あなた 神妙な顔して 『承知しました』なんて 言っておきながら どういう事ですの? こんな漫画 子供に貸すなんて。」

キヨ「お言葉ですけどね 坊やが 借りたいって 言ったから 貸したんですよ。 嫌がるものを 無理やり 押しつけやしまいし。」

布美枝「『悪魔くん』だ。」

美智子「おばあちゃん。」

キヨ「おとなしく 頭下げる事ないよ。 そんなに嫌なら 子供が うちに来ないように しっかり しつけるのが 親の務めじゃないんですか?」

日出子「子供が借りたがっても 貸さないのが 良識ある 大人じゃございませんの! よりによって こんな愚劣で 汚らわしい漫画。 魔法だか何だか 内容も でたらめで いかがわしく 低俗そのものですわ!」

太一「ちょっと おばさん!」

布美枝「太一君!」

太一「でたらめだとか いかがわしいとか ちゃんと 読んでから 言ってんですか?」

日出子「何なの? あなた。」

太一「俺は もう 10回は 読んだけど どこが でたらめか 分かんねえな。」

日出子「いいわねえ いい年して 漫画なんか読むなんて。 うちの子には あなたのような 教養のない大人に なってほしくないの。」

布美枝「ちょっと それは…!」

美智子「奥さん 聞き捨てなりませんね。」

日出子「何なのよ!

美智子「うちの事は ともかく うちの お客さんをバカにしたり 本を 悪く言われる筋合いは ありませんよ!

日出子「まあ 客に対して その態度! 失礼ね!」

美智子「そちらこそ!」

日出子「こんな店 親が団結すれば いつでも どうにでも できるんですからね!」

キヨ「おや 脅迫する気かい。」

日出子「何なの!」

(藍子の泣き声)

布美枝「藍子! あっ! 藍子?!」

政志「どうした? 今の声!」

美智子「藍子ちゃん 土間に 落っこって!」

政志「何やってんだ。 頭 打ってねえか? 医者 連れていこう 救急車だ!」

布美枝「大丈夫です。 けがはしてないです。」

政志「バカ! 後で 何かあったら どうするんだよ!」

キヨ「こういう時はね すぐに動かしちゃダメなんだよ。」

政志「けど 赤ん坊は 自分じゃ説明できないんだから。」

キヨ「落ち着きな。 落っこって すぐに 大声で泣いたんだから まずは 大丈夫なんだ。 どれ 見せてご覧。」

日出子「ちょっと! こっちの方は どうしてくれるんですか?」

政志「うるせえ! とっとと帰れ!」

日出子「まあっ!」

(泣き声)

政志「大丈夫か?」

田中家

美智子「よかったわね けがなくて。」

布美枝「お騒がせして すいませんでした。」

キヨ「お陰で 小うるさい客が 退散してくれたよ。 あ あれは 政志が どなったからか。」

布美枝「でも びっくりしました。 藍子の事 あんなに 心配してくれるなんて。」

キヨ「あの… 子供が ちょうど 藍子ちゃんぐらいの時に 政志 兵隊に取られてね。 戦争が終わってからも すぐに 日本には 戻ってこれなくて。 復員してきた時に 子供は もう…。」

回想

キヨ「疎開先で 腸チフスにかかってね。」

回想終了

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