連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第75話「初めての里帰り」

チヨ子「フミちゃんだって 子供の頃から いざとなったら 度胸の据わるとこ あったけんね。」

布美枝「そげかなぁ?」

チヨ子「夜泣きはせんの?」

布美枝「うん。 よう寝る子で。」

チヨ子「ええね。 節子のとこなんて 夜泣きが ひどくて 旦那さんと コレ。」

布美枝「そげかね。 藍子が おとなしい子で 助かるわ。 うちは 家しか 仕事場がないけんね。」

チヨ子「旦那さんは どげしとる? この間は 会えんで 残念だったけど。」

布美枝「ごめんな。」

チヨ子「ん?」

布美枝「あの時は 仕事が忙しいけん うちには呼べんなんて 言ったけど ほんとは うちが あまりにボロ屋なんで 恥ずかしかったけん。」

チヨ子「えっ?」

布美枝「うちの人 仕事は 一生懸命しとるけど お金 あんまり入ってこんの。」

チヨ子「なして?」

布美枝「貸本漫画は もうからんのよ。 だけん 日々 貧乏との闘い。」

チヨ子「あらまあ… 大変だ。」

布美枝「うん。」

チヨ子「けど ほんなら よかったわ。」

布美枝「え?」

チヨ子「家に友達も呼べんような 気難しい人なのかと思って 心配しとったのよ。」

布美枝「気難しい事はないわね。 おおらかな人だけん。」

チヨ子「それは ええわ。 旦那さんの機嫌とるのに 苦労するより お金の苦労の方が ずっとマシよ。」

布美枝「そげかなあ。」

チヨ子「うん。 あ 私 ちょっと お姑さんに 電話してくる。 子供を預けとるけん ゆっくりしても ええかどうか 様子 聞いてみるわ。」

布美枝「うん。」

(ドアベル)

(ドアベル)

布美枝「あれ 貴司…?」

貴司「すまん…。」

満智子「(泣き声)」

布美枝「えっ… 何?!」

貴司「けど… 俺も ど どげしたらええか よう分からんで…。」

及川満智子「ほんなら… これで 終わりですか? 私達…。」

貴司「いや…。 マチちゃん…。」

(ドアベル)

チヨ子「ごめん フミちゃん。 子供が 熱 出しって。 私 先 戻るわ。」

貴司「姉ちゃん…。」

<布美枝は とんだところに 居合わせてしまったようです>

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