連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第92話「来るべき時が来た」

仕事部屋

茂「この子は 普通の子供にはない 特別な力を持っとる。 自由自在に テレビの中に入り込んで 飲んだり食ったり。 欲しいものは 何でも テレビの中から 持ち出せる。 この子が転校してきたら 学校は 大騒動だな。」

居間

布美枝「お父ちゃん 何を見つけたんだろう?」

仕事部屋

茂「よし! これだ!」

(小鳥の鳴き声)

<そして 約束の日 豊川が やってきました>

居間

豊川「なるほど テレビの中の自由自在に 行き来する子供ですか。」

茂「『テレビくん』です。」

豊川「『テレビくん』ねえ…。 う~ん。 うん。 これは 面白くなりそうです。 テレビの中に入り込んで どこにでも行ける。 欲しいものは 何でも手に入る。 これは 子供の夢そのものですよ。」

茂「ええ。」

豊川「『テレビくん』は 子供達のスターですね。」

茂「ん? 子供達のスターか…。」

豊川「あまり日がありませんが どうでしょうか? 締め切りは 今月末という事で。」

茂「本当に これでええのかね?」

豊川「はい?」

茂「どうも 違うような気がしてきたなあ。」

豊川「先生?」

布美枝「お父ちゃん?」

茂「う~ん。」

豊川「先生が納得しておられないのは どの部分でしょうか? テレビの世界を自由自在に行き来する 少年というアイデア 私は とてもよいと思います。」

茂「ええ。」

豊川「テレビという文明の利器が 人を異次元の世界に いざなう 装置に見えます。 先生が描いてこられた 『墓場鬼太郎』や 『悪魔くん』とも重なって 大いに面白いと思うんですがね。」

茂「しかし 貸本漫画と同じでは やはり いかんでしょうなあ。 自分も ついさっきまで これで いけると 思っとったんです。 けど この子が 子供達のスターかと 言われると どうも違う気がする。 子供に受けるには 何か 足らんような気がするんです。」

豊川「う~む。」

茂「何かが足らんのか どこか違っとるのか…。」

布美枝「藍子! 今 お仕事中だけん 邪魔したら いけんよ。 すんません。」

茂「もうちょっと 丸っこくないと いけんな。 ああ そげだ!」

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