村岡家
庭
花子「てっ…。 歩… 見た事もないような 大きな入道雲だね。」
平祐「ごめんくださ~い。 やあ 花子さん。」
花子「ごきげんよう。 お義父様。」
平祐「さあ 歩。 今日は 何して遊ぼうか。」
花子「ほら 歩。 おじいちゃま 来て下さって よかったわね。」
平祐「ん? ほう…。」
(地震の音)
<大正12年 9月1日 午前11時58分 相模湾を震源とする マグニチュード7.9の大地震が 関東地方の南部を襲いました。>
花子「歩? 歩…。 お義父様? お義父様!?」
平祐「うう… ここ ここだ。 歩は 無事か!?」
花子「はい! お義父様…。」
平祐「すごい揺れだったな。」
(叫び声)
(子どもの泣き声)
花子「声が…。」
(泣き声)
玄関前
花子「大変…。 お義父様 歩を…。 大丈夫? みんな…。 みんな 大丈夫?」
<この地震の被害が 想像以上に大きい事を 花子は まだ知りませんでした。>
花子「大丈夫?」
<当時の大森は 校外の田園地帯であり 被害は 比較的少なかったのです。>
居間
花子「今は 外に出ても危ないから おうちの人たちが迎えに来るまで みんなで一緒に過ごしましょう。」
平祐「花子さん。 倒れたうちもある…。 火事で燃えてるうちも…。 どこもかしこも めちゃくちゃだ…。」
花子「英治さんは… 銀座は どうなんでしょう…。」
平祐「さっぱり分からん…。」