海
花子「もう ここに来る事もないと 思ってたわ。 思い出なんて つらいだけだもの。 もっと たくさん してやれた…。 仕事なんかしないで もっと そばにいてやればよかった。 もっと 私が ちゃんと見ていれば 歩ちゃん… あんなに早く 天国に行く事もなかったのに…。」
英治「花子さん! そんな事ないって!」
花子「私みたいな母親のところに 生まれてこなければ 歩は もっと幸せになれた! 私の子になんか 生まれてこなければ よかったのに!」
英治「花子さん! それは 違うよ! 歩 言ってたんだ。 『神様に頼んだ』って。」
回想
歩「神様と雲の上から見てたんだ。 そしたら お母ちゃまが見えたの。」
吉太郎「雲の上から?」
歩「お母ちゃま 英語のご本を読んだり 紙にお話を書いたり 忙しそうだったよ。 でも 楽しそうだった。 だから 神様に頼んだの。 『僕は あの人のところに 行きたいです』って。」
回想終了
花子「歩が そんな事を…?」
英治「その時は 信じられなかったよ。 歩は… 君に似て 想像の翼を広げる子だから。 でも 今は信じる。 歩は 本当に君を選んで この地上にやって来てくれた ような気がするんだ。 君は 歩が選んだ 最高のお母さんじゃないか。」
蓮子「はなちゃん!」
花子「てっ…。」
回想
歩「僕 分かったよ。 雲はね 雨を降らせて消えちゃったあと 虹になるんだよ!」
花子「そうね。」
歩「お別れに お空の虹になったんだ。」
回想終了