安東家
居間
朝市『おかあ 元気け。 おらは やっとこさ 学校に慣れたけんど あんまり元気じゃねえ。』
ふじ「えっ?」
朝市『人の心を傷つけちまっただ。 言葉が分からんって 恐ろしいこんだ。 ほのせいで 優しいスコット先生を 傷つけちまっただよ』。
朝市『謝りてえけんど おら 英語が まるっきし しゃべれんし どうしたらいいだか 分からんで。 こんなこんになるなら 落第になった方が よっぽど よかったさ。 おかあ おら どうしたらいいずらか?』。
ふじ「はな…。」
朝市「おばさん! はなが大変じゃん! すぐ 返事書くじゃんけ!」
ふじ「ふんだけんど おらも 何て言ってやったらいいだか…。」
周造「そうさな…。」
修和女学校
寄宿舎
はな「スコット先生! スコット先生 ごめんなさい! おら ずっと謝りたかったですけんど…。」
はな「先生の部屋を掃除してて ごみ箱に落ちてた 紙っぺらを見たら 英語が書えてあったから おら それを 丸写しにおしちまったです。 落第したくなくて ほのこんで 頭がいっぺえで おら とんでもねえこんしちまった。 ごめんなさい!」
<言葉が通じないのは 分かっていながら 謝らずにいられない はなでした。>
はな「ごめんなさい!」
富山「安東はなさん。 今の話は 本当ですか? 答えなさい。」
<おお~怖い。 ごきげんよう。 さようなら。>