談話室
醍醐「はなさん 本当に甲府へ帰ってしまうの?」
はな「ええ。 やっと 代用教員の仕事も見つかったし。」
畠山「それは よかったわね。 私は 家に帰って 花嫁修業をさせられますの。」
醍醐「もうすぐ みんな バラバラになるなんて さみしいわ。」
はな「どうしたの? 幸せいっぱいの醍醐さんが。」
醍醐「結婚 やめたの。」
一同「えっ!?」
醍醐「大変いい方でしたけれど 白紙に戻させて頂いたわ。」
はな「ど… どうして?」
醍醐「その方と一緒にいても ちっとも パルピテーションを感じないんですもの。」
<パルピテーションとは ビビビビッと 胸がときめく事でございます。 そんなものは 結婚が現実になれば 大概消えてしまうものなのに。」
嘉納邸
蓮子「『キリストの娘とよばれ ほこりもて 学びの庭に ありし いくとせ』。」
<蓮子は はなと過ごした あのころを 思い出さない日は ありませんでした。>
向学館
編集部
<そして…。>
はな「編集長。 その節は 大変ご迷惑をおかして 申しい訳ありませんでした!」
梶原「…で 今日は どうしたの?」
はな「はい。 実は 私の代わりに 紹介したい人がいるんです。」
醍醐「ごきげんよう。 醍醐亜矢子と申します。」
梶原「どうも。」
はな「今 醍醐さんは 人生の間借り角にいるんです。」
醍醐「そうなんです。 予定していた結婚を 破談にしてしまい 両親を怒らせ 自活しなければならないのです。 この際 小間使いでも何でも致します! どうか よろしくお願い致します!」
「編集長 こういう押しの強い人を 入れた方がいいですよ。」
梶原「そうだな。」