客室
晴海「懐かしい。 正が生まれた時 色も白くてさ 未熟児だったから 抱いていても 本当に軽くて ちゃんと育つか 心配で 夜も眠れなかったさ。」
純「へえ。」
晴海「剛はさ 生まれてすぐ ミルクもよく飲むし いつも両足バタバタさせて 私 蹴るの。 もう それが痛くてさ。」
純「今と変わんないね。」
晴海「本当ね。」
純「あ 私は?」
晴海「あんたは。」
純「うん。」
晴海「あれ? なんだっけ?」
純「やだ ちょっと お母ちゃん。 酷いよ もう。」
晴海「今思い出すから。」
純「いや いいよ 大丈夫大丈夫 無理しないでよお母ちゃん。」
晴海「思い出した。」
純「うん?」
晴海「純が生まれた時。」
純「うん。」
晴海「とにかく おとうさんが喜んでね。 ずっと あんたを抱いて離さなかったよ。」
純「ウソ…。」
晴海「おとうさん 顔 クシャクシャにして 純はいい子だな 純はいい子だなって。 あんたが動物園好きだって 分かったら 休みの日にどっか行くって言ったら いつも動物園さ。」
回想
晴海「純 これだけは 忘れたらダメだよ。」
純「うん?」
晴海「おとうさんは あんたのことを 本当は誰よりも 愛しているよ。」
玄関前
(メールの通知)
善行「『お母ちゃんは 今ウチのホテルにいます。』分かってる。」
善行「今俺は目の前におんねん『どこにいるの?早く会いに来て。』そう言われると逆に行きにくい…。」