多恵子「純もね 誠 あなたが生まれた時 本当に嬉しそうだったの。」
謙次「そうそう いつも抱かせて 抱かせてって言ってたな。」
誠「ウソ ほんま?」
多恵子「あなたがいてくれたおかげで 家族が暗くならずに済んだのよ。 生まれてから ずっと あなたは家族を照らす希望の光なの あなたがいないと 困るのよ。 あなたが必要なのよ。 それだけは信じてちょうだい。」
誠「うん。」
多恵子「愛 前から言おうと思ってたんだけど 純が死んだのは あなたのせいじゃないわよ。 だから 私のお腹の中で 自分が純の才能や生命力 全て奪ったと思うのは もうやめなさい。 今を生きなさい。 未来を見つめなさい。 幸せになりなさい。それが 残された者の責任だから。」
愛「はい。」
謙次「なんだか 自分に言い聞かせてるみたいだな 多恵子? ごめん。」
多恵子「謝らなくてもいいわ 別に。」
謙次「ついでだから 言わせてもらうけど 多恵子 自分を責めるのは やめないか? 純が死んだのは 君のせいでもない。」
多恵子「わかっています。」
謙次「寂しがり屋なんだから せめて 子供たち2人には甘えてほしい 出来れば 眉間にシワを入れないで 笑顔を見せてほしい。」
誠「ねえ パパとママは もう1回やり直すことは 出来へんの?」
多恵子「それは 無理よ。」
誠「なんで?」
多恵子「純さんや愛みたいな気持ちになれないからよ もう。 でも これだけは捨てないわ。 こんな素敵な子供を授かることが出来たんだもの。」
謙次「実は… 僕もいつも ポケットに入れてるんだ。」
看板メニューを勢いよく食べる 愛と謙次
多恵子「そういうとこ おとうさん そっくりね。」
誠「ほんまに。」
謙次「何言ってるんだよ そうやって 首をすくめるとこは多恵子と誠は一緒だよ。」
誠「そうかな?」
愛「お母さんが そうやって笑うとこ 久しぶりに見ました。」
謙次「うん。」
誠「たしかに。」
多恵子「…」
愛「いいじゃないですか?」
海
誠「空気おいしい!」
漁港
謙次「こんにちは。」
「こんにちは。」
謙次「全ての音が 気持ちいい!」
海
多恵子「うおーー!」