サザンアイランド
客室
善行「う~ん。」
愛「気が付きました? 今 お義母さんたち 呼んできますね。」
善行「行かんでええ。」
愛「いや でも…。」
善行「あいつの顔なんか 見とうないわい。 お前の顔もや。」
愛「お義母さんは 本当はお義父さんと別れたくなんかないんです 離婚って言いだしたのは 最後の賭けなんです お義父さんが 本当に自分のことを愛してくれてるんだったら 宮古に残って 家族と一緒にやり直す気になってくれるんじゃないかって。」
善行「あいつ ホンマはそう思うてんのんか?」
愛「はい。」
善行「いやいや お前のな その 人間の本性が見えるとかなんとかいう力 信じたわけやないぞ!」
愛「分かってます。」
善行「なら 俺見るな!」
愛「お願いします。 純さんと一緒に このホテル 立て直してくれませんか?」
善行「そんなことしたって あいつはな やることなすこと 俺のことが気にいらへんのや 子供の時から そうじゃ あいつは おじぃのところには ニコニコ 走っていく子やったけど 俺の膝には一度も 来えへんかった。」
愛「純さんは 誰よりも お義父さんのことを愛しています。 そして 誰よりもお義父さんから 愛されたいと思っています。」
善行「そんなことあるかい。」
愛「ただ このホテルをお義父さんが大事してくれないのが イヤなんです このホテルは 純さんにとって 生きる目標であり 夢であり 何にも変えられない 大切な宝物なんです。 そんな純さんの気持ち 分かってもらえませんか? お願いします。」
善行「おい。」
愛「はい。」
善行「お前は一体 何者じゃ? 男のくせに 女房従えて生きていくというプライドがないんか お前には?」
愛「いや そんな物持っていても 仕方ないなって思ったんです 純さんを見ていたら お客さんに感謝された時に 本当に嬉しそうに笑う 太陽みたいな まぶしい笑顔を見ていたら それを一生失ってほしくないなって思ったんです。 」
愛「この人の心が折れないように 一生支えて生きてたいって 思ったんです。 僕もガキのころ そうだったけど 男って 女の人に 良いところ 見せようとして 自分の身の丈以上のことをして 結局失敗しちゃうんですよね。 そんなことするくらいだったら 女性に尽くした方がいいと思いませんか? このまま 意地張って お義母さんや純さん失っても いいんですか? お義父さん?