客室
蘭「待って! 待って 史郎! 史郎を返して!」
満田「俺と一緒に 帰るって約束したらな。」
蘭「警察呼ぶわよ!」
満田「そんなことしたら 史郎と死ぬぞ いいのか?」
蘭「お願い! 史郎を返して!」
食堂
サト「もしかして あの男から逃げるために 天草蘭とか偽名使ってたの?」
蘭「すみません。 史郎が生まれた頃までは 一緒に理髪店やりながら。 優しかったんです。」
蘭「でもそのうち こっちが男のお客さんと話しただけで 色目使ってるって 殴るようになって すぐ反省して 二度としないって 泣いて謝るから そのあともズルズル続けたら 今度は 史郎にまで 暴力を振るうようになって。」
蘭「別れてくれって頼んだんですけど どうしてもダメで 夫の合意なしで離婚するには裁判するしかないって言われて それには時間がかかるし 逃げるしかなかったんです。 こんな傷を士郎につけるわけにはいかないんです。」
純「すみません。 私がビデオなんかに撮られなかったら。」
蘭「謝らないでくれる? 腹が立つから。」
サト「別にあんたが悪いんじゃないのよ それより 早く士郎君を取り戻しに行かなくちゃ。」
純「え? なんかいいアイディアがあるんですか 女将さん?」
サト「もちろん。」
蘭「なんですか それ?」
サト「それは 社長が考えるから。」
純「そうですよ。」
純「え? ちょっと待ってください。 無理です。」
サト「あんたの辞書に無理って言葉無いんだろ? 士郎のためにも諦めちゃダメだよ。 女が諦めたら 世界が終わっちゃうんだろ?」
純「は はい…。」
愛君 SOS すぐ来て!
客室
おじぃ やっぱ 私の辞書に無理って 足しとこうかな…