玄関が開く
剛「ねえねえねえ お姉お姉!」
純「なに?」
剛「俺 凄いいい事考えたんだけどさ 聞く?」
純「なに?」
剛「あのさ。 お母ちゃん宮古戻りたいって 言ってたんでしょ?」
純「うん。」
剛「だったら 俺が一緒に住んで お母ちゃんの面倒見ようと思ってさ。」
純「そんなこと簡単に言わないでよ。 どこに住むのよ?」
剛「あ いや それは あの… これから…。」
純「大体ね あんたが介護なんか出来るわけないんだし ちゃんと考えてから言ってよ そういうことさ(ため息)」
剛「なんで そうやってお姉は昔から 俺の言うこと いちいちバカにするんだよ。」
純「しょうがないでしょ あんたが昔から なんかやりたいって自分から言いだすと ロクなことがないんだから 山でUFO探しに行くって言って迷子なったり 沈んだ船の宝探しに行くって言って 海で溺れたりさ。」
剛「俺はお母ちゃんの よくなって長生きしてほしんだよ。 なんでわかってくれないんだよ お姉。 うっうっうっ…」
純「ちょ ちょ ちょっ あ…。」
おいおい ここで泣くか?
サト「ちょっと 弟泣かしちゃダメだよ。」
純「いやいや 騙されないでくださいよ。 こいつ昔から自分の 言い分が通らないと 泣いて 周りの同情買おうとするんですから。」
剛「女将さん お姉がイジメるよ。」
サト「おお よしよし。 この子の言うことも一理あるよ。 大阪にいるよりも宮古に 帰った方が 病気が良くなる可能性が高いって言ってるんでしょ お医者さんも?」
純「そうなんですけど でも 父親が 宮古には帰りたくないって 言うんですよ。」
剛「ほっときゃ いいじゃん あんなヤツ。」
純「そういうわけには いかないでしょ 夫婦なんだから。」
剛「じゃあ お姉が代わりにお父ちゃん説得してよ。」
純「は?」
剛「じゃ あとはよろしくね。 お母ちゃんのためだからさ 頑張って。」
純「ちょっと…。」
剛「お邪魔しました。」
純「ちょっと 待ってよ 剛。」
サト「優しい弟さんだね。」
狩野家
正「それで お父さんとはコンタクト取れたのか?」
純「うんうん まだ てかお兄ちゃんから言ってよ お父ちゃんに宮古に帰るようにさ。」
正「マインド的には そうしたいんだけど 俺も色々と忙しくてよ。」
純「もしかして 仕事決まったとか?」
正「まあな。」
純「よかったじゃん。 で なに ホテル?」
正「あ いや… サービス業は サービス業なんだけどさ…。」
純「ああ レストラン? あ バー? もしかして ホストとかじゃないでしょうね?」
正「…。」
純「え? ウソでしょ? ちょっと 何考えてんの お兄ちゃん。」
正「しょうがねえだろ お母さんの病院代とか 勇気のミルク代稼がなきゃ いけないんだから。」
純「いやいや だからって なに お姉ちゃんはOKって言ったの?」
正「もちろんだよ。」
マリヤ「浮気したら ぶっ殺すからね。」
正「はい…。 ああ そうだ お母さん心配するから 内緒にしておけよ。 ああ そうそう それと 源氏名は 待田純にさせてもらったから。 じゃ お父さんの方はよろしくな。」
純「え? ちょっと待ってよ お兄ちゃん ちょっと(電話が切れる)ったく もう…。」