居間
北村「ほんでよう あの… わい もんでもらっちゃあったらよ グズグズ聞こえて 泣き出しちゃってん。」
昌子「ほんまですか?」
北村「おかあちゃん おかあちゃん! 聞いてる? おかあちゃん。」
千代「あ~ そら そうですわ。」
北村「そうやろ? 泣くの おかしいな 言うて。」
昌子「まあまあ 一杯 飲んで下さい。」
北村「普通 泣くか そんなもん。」
昌子「そりゃあ ちょっとおかしいですね。」
北村「びびってもうてんや もう。」
(ミシンの音)
<結局 その年の4月 優子は 大阪の洋裁専門学校に 通い始めました>
居間
♬~(ラジオ)
糸子「はい。」
聡子「うわ ありがとう!や~! うわ~ うれしいな!」
直子「これ うちに買うてくれたん? お母ちゃん。」
糸子「うん 卒業祝や。」
直子「おおきに! うわ~! わあ~!」
2階 寝室
♬~(ラジオ)
優子「うわ~ 何? 何やろ~? うわあ~ こんな上等なん! 高かったやろ~?」
糸子「まあな。」
優子「そうやろ~。」
糸子「けど 一つ ええのん 買うといたら どこにでも使えるよって。」
優子「ほんま おおきに~! うわ~ これ 本物?」
糸子「本物やん。」
優子「本物なん?」
糸子「本物や。」
優子「これは すごいわ~。 ほんま ありがとう お母ちゃん。」