枡谷パッチ店
仕事場
糸子「こんにちは!」
職人達「小原!」
玄関前
さよ「おとうちゃん! はよ! はよ はよ! ほい ほい! よいしょ よいしょ! おとうちゃん はよ はよ!」
仕事場
枡谷「おおっ 久しぶりやないか!」
糸子「御無沙汰してます。」
枡谷「いや~ こっち来い こっち来い。」
糸子「おおきに。 けど すんません。 急いでますねん。 相談したい事があって。」
枡谷「何や 何や?」
枡谷「ミシン… ミシンか~。」
糸子「はい。 使わせてもらえませんやろか?」
枡谷「そら 使わせちゃりたいんは やまやまやけどなあ。」
坂本「そやけど 大将 うっとこも 今年は 30日まで みっちり やるさかいな。」
田中「年の瀬やよって 夜も 結構 ミシン使うしな。」
枡谷「まあ 大みそかと 元旦やったら なんぼ使うてもうても ええねんけどな。」
岡村「正味 その2日で 20着… 縫えるか?」
糸子「いや 無理ですわ。」
枡谷「よそで どっか ミシン 空く店 ないか?」
さよ「年の瀬はなあ どっこも忙しさかいなあ。」
糸子「おおきに! 邪魔しました! 他 考えますわ。」
枡谷「おい おい! 茶ぐらい飲んでいけや おい!」
糸子「すんません。 また 来ますよって。 おおきに!」
田中「何や あいつ 格好ようなりよったのう。」
玄関前
山口「小原! おい 小原! 茶ぐらい 飲んでいけや! 頑張れよ!」
糸子「あ… ちょっと 湯飲み。」
(ドアの閉まる音)
<相変わらず 訳の分からん人です>
松坂家
廊下
(男の笑い声)
貞子「あんた どっかで 遊んどうやろ? あいびきか? 心斎橋か? 正直に言うてみい。」
糸子『遊んでへん! 遊んでへん!』
木之元電キ店
糸子「近所の電気屋や。 電話 借りてて」
♬~(ラジオ)
糸子「そこのラジオが うるそうて。」
(笑い声)
糸子「ちょっと待ってな。 おっちゃん! ちょっと 音 小さして。」
木之元「へえ! アハハハッ!」
糸子「もしもし? あのな おばあちゃん そっちの工場で 年明けまで使わへんミシン ある?」
松坂紡績
清三郎「何? 糸子が… うん… うんうん… ふ~ん…。 ある ある! ミシンなんか なんぼでも使うたらええ! ああ 送ったろか?」
貞子『それがな 送っとったら 間に合わへんのやって。 そやから…。』
清三郎「何やて? こっちに泊まり込むんか。 そら ええ! そら ええこっちゃ! うん! ミシン 何台 要る? 何台でも そろえたんで! えっ? 何や 1台で ええんか。 ハハハッ まあ そらそうやな。 糸子は 一人やからな! うん。 まあ 任しとけ!」