連続テレビ小説「カーネーション」第53回「いつも想う」【第9週】

小原家

オハラ洋装店

(ため息)

<耳の奥に 直子の泣き声が こびりついて 取れませんでした>

玄関

善作「ただいま~! 優ちゃんのお帰りやで~!」

糸子「お帰り。」

ハル「お帰り!」

善作「ほれ 優ちゃん お母ちゃんに話しちゃり。 今日は 何 見に行ったんやったかいな。」

優子「歌舞伎!」

善作「そやなあ。 そんで 優ちゃんは 誰が 気に入ったんやったかいなあ?」

優子「春太郎!」

糸子「何やて? ちょっと見せてみ!」

善作「ええ芝居やったで。 脂の乗りきった役者ちゅうのは こういう事 言うんやろな。」

糸子「お父ちゃん! 子供に 何 見せてんよ?」

善作「ああ?」

糸子「春太郎なんか 見せんといてよ!」

善作「春太郎の何が悪いで?」

居間

優子「『腹は大きな肝っ玉あ~』。」

(笑い声)

中村「優ちゃん 途中で飽きんと 最後まで見たんけ?」

優子「うん。」

中村「ふ~ん。 偉いなあ。」

昌子「中村春太郎ちゅうたら 有名なタラシやろ。」

清子「タラシかどうか知らんけど いっとき よう 雑誌 載っちゃったな。」

静子「こないだ 結婚したさかい もう タラシと ちゃうんちゃう?」

昌子「は? 役者が結婚したくらいで タラシやめへんわ。」

糸子「直子 御飯 食べてるやろか。」

<近所の預けてる時は 仕事中に思い出す事なんか いっぺんも なかったのに。 今度は 直子の事を 5秒と忘れていられません>

オハラ洋装店

昌子「先生! 先生!」

糸子「ん?」

昌子「聞いてました? 今の うちの話。」

糸子「聞いてなかった。」

昌子「もう!」

2階 仕事場

<それは 勝さんも 同じやったようで>

(ため息)

オハラ洋装店

<とうとう 3日目の夜>

糸子「どこ行くん?」

勝「直子の顔 見てくる。」

糸子「今から?」

勝「パッと 顔 見るだけや。 今夜中には 戻る。」

糸子「うちも行く。」

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