(からすの鳴き声)
サエ「ええやん 柄が ええやろ!」
「似合うてる?」
「やっぱりなあ。 でも あんたのも ええよ。」
<最初 あんだけ ツンケンしちゃったくせに 終わり頃には すっかり仲ようなって…>
「色が ええな。」
「ほんまやな。」
「その色も ええなあ。」
サエ「ちょっと あんたの ええやん!」
「そんな事ないって! それより やっぱり モノが ええと ちゃうなあ!」
サエ「あかん あかん! うちは 手ぇが雑やよって。 見て! こっから 早速 綻びてる!」
(笑い声)
サエ「あんたのんが よっぽど 上等に見えるわ!」
「そんなん 分かれへんわ!」
昌子「あそこ。」
糸子「綻びてきた。」
サエ「うまいわ~。 めっちゃ ええわ。」
「だって こんなん…。」
サエ「雑やて…。」
(笑い声)
「いいって! モンペにしてんのが ええやん。」
「いや 柄が ええから。」
(笑い声)
糸子「雑やさかいな。」
サエ「ちょっと。 せっかく こんなええモンペ はいてんやし このまま みんなで どっか 行けへん?」
4人「いや~ 行こ 行こ!」
サエ「糸ちゃんも 行こよ?」
糸子「うちが 行けるかいな この忙しいのに。」
サエ「うん しょうもな~。」
昌子「ほな うちが 行きましょか?」
糸子「何でやねん?!」
(笑い声)
糸子「まあ せいぜい あちこち 見せびらかして うちの宣伝 してきてな!」
サエ「うん。 そら 任しといて! ほな おおきにな!」
4人「おおきに!」
糸子「おおきに!」
玄関前
糸子「おおきに!」
昌子「おおきに!」
「けど おしゃれしたかて どこ 行くんよ? 今どき。」
「若い男なんか どこにも いてへんで!」
サエ「ええやん 別に 男がいてんでも。」
「だけど あんで」
「どこ?」
「どこ?」
糸子「たっくましいなあ!」
昌子「何や… 日本は 戦争 勝てる気ぃ してきました。」
糸子「うん。 うちも そんな気ぃ すら!」
2人「フフフフッ。」