小原家
庭
糸子「あっこまでアホや 思てなかった。 借金1万円て。」
八重子「せやけど アホやちゅうたら かわいそうや。 お父ちゃんも 早う亡くなって 旦那さんも 逃げてしもて ほんで お母ちゃんが また 体 弱いんやろ?」
糸子「知らんかった。」
八重子「奈っちゃん 誰にも 頼る事できんと たった一人で あの店 守ってきたんやし。」
糸子「せやけど…。 何で 頼れへんかってんて。」
八重子「うん。」
糸子「それが 悔しいて。」
八重子「そこが 奈っちゃんなんやなあ。」
オハラ洋装店
糸子「おばあちゃん? うん 元気やで。 あんな おばあちゃん 料理屋 いらん?」
<うちは 神戸のおばあちゃんに 持ちかけてみたもんの>
糸子「いや ごっつええ店なんや。 庭も広いし…。」
<今は 料理屋は いらんて 言われました>
居間
昌子「クロスズメバチの幼虫とサナギ しょうゆの付け焼きにする。」
(悲鳴)
昌子「ゲンゴロウ虫は 羽 足 頭をもいで 腹だけをしょうゆの 煎り煮にする。」
(悲鳴)
<…ちゅうぐらい どっこも ひもじい暮らししてんのに。 そら 料理屋なんか いらんわな>
オハラ洋装店
糸子「う~ん! う~ん! 何か 手ぇ ないかいな。」