あらすじ
大阪の空襲は岸和田までは来なかった。糸子(尾野真千子)は、近所の女性たちと消火訓練をする日々に戻る。ハル(正司照枝)や子どもたちのことを考え、糸子は郊外の空き家への疎開を思いつく。嫌がるハルや千代(麻生祐未)、子どもたちを移し、糸子は仕事の傍ら自転車で食料を運ぶ。疲れきっている糸子だが、朗らかな千代に一瞬、気持ちをほぐされる。一方奈津(栗山千明)は、無一文となり日々の食料にも困る暮らしをしていた。
74回ネタバレ
小原家
居間
<岸和田には 焼夷弾は 落ちませんでした。 明け方に やっと 警報が解除されて>
糸子「お父ちゃん また会えたな。」
2階 寝室
糸子「よっしゃ! こんで 安心や。」
静子「何が?」
糸子「え?」
静子「安心なん?」
糸子「いや… まあ 安心て。 そら 何も 安心ちゃうけどな。」
<不安ばっかしです>
居間
(小鳥に鳴き声)
<岸和田は 空襲を免れたもんの>
糸子「『B29 約90機 大阪地区に来襲 大阪 尼崎に 焼夷弾を投下 火災を発生』。」
昌子「うわ~ やっぱし 大阪も 焼かれたんや。」
岸和田商店街
<週1回やった防火訓練は 週2回になりました>
澤田「気ぃ 抜くな! ほら 生きるか死ぬかや!」
美代「はれ 大丈夫け?」
澤田「こら! 続けて 続けて! はよ 立ちなさい!」
「ああ~!」
澤田「甘ったれるな! それでも 日本の女か!」
美代「ちょっと お宅!」
澤田「はあ 何ですか!」
美代「どなったら ええちゅうもん ちゃうやろ! 貧血や! 見て分かれへんのけ!」
澤田「B29は 130機も いてるんや! のんきに 貧血なんか 起こしてたら 焼かれてしまうて 言うてるんや!」
美代「せやから 貧血や!」
<せや B29は 130機も いてるっちゅうのに バケツの水なんぞ なんぼ まいたところで らち 明くかいな>
山中町
<まあ ほんまに 雨風 しのげるだけの ボロ家やけどな。」
(鶏の鳴き声)
糸子「いや けど 十分ですわ。 こんだけ広さもあったら。」
「夏んなったら ようけ 虫 出るで。 蚊やら ムカデやら。」
糸子「ムカデ? はあ そら 黙っときますわ。」