連続テレビ小説「カーネーション」第74回「生きる」【第13週】

小原家

居間

静子「疎開?」

糸子「せや。 心当たりを 片っ端から 頼み歩いたら 1軒 使てない家を 貸してくれるちゅうて そういう人が 見つかってん。 おばあちゃんと お母ちゃんと それから 子供らは そっちで暮らすようにしよう。」

糸子「絶対 その方が 安全や。 うちらは 仕事があるあさかい 店 残らな しゃあないけど うちらも その方が いざっちゅう時に 逃げやすい。 あと りんちゃん 幸ちゃん トメちゃん。」

3人「はい。 あんたらは 週3回 家主さんの畑仕事 手伝い。 そのかわり 食べ物 分けてもらうちゅうて 話つけてきたさかい。」

千代「その家は どこにあんのん?」

糸子「山中町の山奥や。 B29かて あんなとこ 爆弾 落とさへん。」

ハル「うちは 嫌や。」

糸子「はあ?」

ハル「うちは この家で死ぬ。」

静子「ばあちゃん そんなん 言わんと。」

ハル「行きたかったら 勝手に行ったらええがな。 何があったって うちは この家で死ぬ。」

(舌打ち)

<年寄りの寝言なんぞ 聞いてられません>

玄関前

ハル「放せ 放せちゅうてんのに! もう 糸子 何すんねん! うちは 行かへんちゅうてるやろ!」

糸子「トメちゃん はよ出し!」

トメ「え けど?」

糸子「はよ はよ走り!」

ハル「こら! この不幸もん! 覚えとれよ!」

糸子「はいはい 何とでも言うてくれ!」

ハル「アホ!」

台所

<食べ物。 食べ物。 あとは とにかく食べ物です>

糸子「足らん。」

山中町

(水遊びの声)

(鶏の鳴き声)

「ほお~ こら助かるで!」

糸子「洋裁屋やさかい こんなもんしか ないんですけど。」

「いや~ 今こんなん どっこも 売ってないさかいな。」

糸子「うちは 糸のもんだけは どないかなりますよって また言うて下さい。」

「いや おおきに!」

糸子「ほんで あの ご主人。」

「ん?」

糸子「モノは相談ですけど。 うっとこは とにかく 大所帯やよって 食べ物がようさん いるんですわ。」

「はあ。」

糸子「りんちゃん トメちゃん 幸ちゃん!」

3人「はい!」

糸子「これらが お手伝いしますよって 早速 畑のもん ちょこっと 分けてもらえませんやろか? 頼んます!」

一同「頼んます!」

「うう~ん。」

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