小原家
玄関前
(からすの鳴き声)
<ほんな訳で 結局 生地は 買えませんでした>
直子「あっ お母ちゃん! お母ちゃん お帰り!」
糸子「ただいま~。 重たっ…。 直ちゃん あんた 重たなったなあ。」
優子「お帰り お母ちゃん!」
千代「お帰り。 もう 帰ってこれたん? 早かったなあ。」
昌子「はあ… まあ いろいろ あって。」
千代「え~? まあ よかったなあ。 お母ちゃん お帰り~。」
糸子「ハハハハ… あんたら ええ子にしてたか うん?」
優子 直子「うん。」
千代「してたなあ。」
居間
一同「うわ~!」
光子「チョコレートや!」
清子「見て~!」
「すごい!」
「う~ん うま~い。」
「おいしいな!」
糸子「昌ちゃん。」
昌子「はあ?」
糸子「あの子… お菓子の一つでも 買えたやろか?」
昌子「また その話… はよ忘れた方が ええですて!」
糸子「せやけど ほんまに ガリガリやったんやて。 あない ちいちゃい子が…。」
昌子「まあ ほんでも とったお金は 元締めの大人に 渡すように なっちゃあんのと ちゃいますか。」
「フフフフフ。」
「うま~い。」
昌子「まあ ほんでも 渡す前に チョロッと くすねて お菓子ぐらいは 買うたかもしれんし。」
糸子「うん…。」
<生き延びや。 おばちゃんら 頑張って もっともっと ええ世の中に しちゃるさかい 生き延びるんやで>