連続テレビ小説「カーネーション」第81回「愛する力」【第15週】

静子「今日な うちの…。 うちの好きな人が 戦地から 帰って来るんや。」

糸子「好きな人? あんた そんな人 いちゃあったんけ?」

静子「そら 姉ちゃん うちかて もう30なんやで。」

糸子「はあ ほうか。 そら うちが 33やもんなあ。」

静子「戦争から生きて帰ってこられたら 結婚しようて 言うてくれてな うち ず~っと待ってたん。 その人がな 今日 岸和田へ 帰って来て その足で うちに会いに来てくれるて 連絡があったんや。」

糸子「あんた 何で そんな事 今まで黙ってたんよ?」

静子「そりゃあ 申し訳のうて。」

糸子「は?」

静子「姉ちゃんは お兄さんを 亡くしてしもうたのに。」

糸子「は… アホか。」

静子「え?」

糸子「あんたな。 姉ちゃんを 何やと思てんや。 ん…。」

玄関前

<慌てて サイズを詰めたさかい ちょっと おかしなとこも あったけど ほんでも新しい服を着て 恋人を待つ静子は 見た事ないほど きれえでした>

糸子「あ 来た!」

サエ「あれや!」

(泣き声)

静子「お帰んなさい!」

サエ「ご ご ごっついな このごろの子ぉは。」

糸子「ほんま 人が見てるっちゅうに。」

<これも 新しい時代が 来たちゅう事やろか>

オハラ洋装店

客「ああ やっぱりええなあ!」

<水玉のワンピースは 思うたとおりの ごっつい反響で>

「3週間や。」

「うちも はよ頼んどいた よかった。」

昌子「せやから 今からやったら 次の次に入ってくる 生地になるんですわ。」

「ほな あそこに あんのんも もう みんな 売り切れてんけ?」

昌子「そうゆう事です。」

「しゃあないな。 けど 頼むわ。 どないしても 欲しいさかい。」

糸子「すんません うちも 生地屋の おっちゃんに はよして! て よう頼んどくよって!」

客「頼むで!」

糸子「へえ。」

昌子「また お待ちしてますよって。」

客「ほな 頼んだで。」

糸子「すんません!」

昌子「また よろしゅう頼んます!」

居間

<それから ちょっと間して 静子が お嫁に行きました>

八重子「よっしゃ でけた!」

一同「うわ~!」

糸子「よかったなあ! この花嫁衣裳も やっと 日の目 見たで。」

(笑い声)

八重子「糸ちゃん 着れんかったからなあ。」

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