連続テレビ小説「カーネーション」第90回「揺れる心」【第16週】

糸子「こんなんか?」

サエ「いや もっとや。」

糸子「もっと? ほな こんぐらいか?」

サエ「もっと!」

糸子「ええ? いや ええけど 高なんで。 生地ようけ使うさかい。」

サエ「かめへん!」

糸子「え~!」

サエ「何を どない我慢したかて うちは 今 こう わっさ~っとした スカート履きたいんや。」

糸子「はあ~ さすがや! さすがや あんた! ちょっと!」

サエ「ん?」

糸子「言うちゃって あいつに。」

サエ「どちらさん?」

糸子「はあ… さすがやなあ! うん!」

松田「ほな お疲れさんです。」

糸子「お疲れさん!」

昌子「お疲れさんです~!」

松田「お疲れさん。」

縫い子達「お疲れさんです~!」

糸子「どないでしたか?」

北村「何がじゃ?」

糸子「今日 婦人服の商売ちゅうもん 見てて。」

北村「よう~ 分かったぞう。 あれじょ 女ちゅうんは ほんまに…。 アホじょ! どいつもこいつも 我が ぶさいくなん ほったらかして 文句ばっかり言いよる。 あれやの 女相手に商売なんぞしよう 思っちゃんのが 間違っちゃあるて事やのう!」

糸子「はあ~! あんた…。 一日見てて そんなけの事しか 言われへんけ? あ~!」

千代「糸子!」

糸子「何?」

千代「もう ええやないか仕事は。 さあさ お夕飯どうぞ!」

糸子「はあ?」

北村「い… いや! わい もう帰りますよって。」

千代「ええ? そない言わんと もう準備しましたさかい。」

北村「わいも ほら もう準備 帰る準備。」

千代「いや そんな あきませんわ 昌ちゃん お客さん 帰るて言うんやけど。」

昌子「はあ? せっかく準備したんです!」

千代「なあ!」

昌子「ちょっとくらい ええやないですか! 一口だけでも!」

北村「もう帰ります!」

昌子「座るだけでも!」

北村「いやいや…。 いやいや 帰るちゅうてんのに。」

昌子「座って下さい!」

居間

北村「で わいが安いなあ 思ちゃったら 偽物やったの。」

(笑い声)

昌子「あきませんわ!」

(笑い声)

北村「そやけど あれでっか? ここは あの お客さん来た言うたら 毎回こない もてなしますんかいな?」

千代「ハハハ! 死んだ主人が よう お酒を飲む人やったんです。 せやさかい 娘婿でも お客さんでも 男の人が うちで お酒 飲んでくれるちゅうんが 好きで。 何や うれしいんです。」

(笑い声)

北村「はあ~ もしかしたら お母さん 仏さんでっか?」

千代「そんな 仏さんやて! いや 仏さんやて…。」

北村「拝んで…。」

千代「そんな やめて下さい!」

北村「わいんとこはね お母さん 男ばっかり囲まれて 育ったんですわ。 親父と兄妹6人 ほんまに 男ばっかりやったさかい 何かこう 女ばっかりの うちって もう わいにとっては 外国みたいなもんでな。」

(笑い声)

北村「何しゃべったらええか さっぱり分かれへん もう。」

千代「ああ~。」

昌子「その割には よう しゃべってるやないですか!」

(笑い声)

北村「分かってたか?」

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