連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第109話「2003-2025」【最終週】

ラジオ局

アニー「後に 夫になる人と。」

磯村「あの… え… アニーさんのご主人といいますと 戦後シアトルの大学で 教べんをとられていた…。」

アニー「大阪の映画館でした。」

磯村「大阪…。」

偕行社

控え室

磯村『日本の大阪ですか?』。

アニー『もう 二度と会わない覚悟で 彼に会いに行きました』。 『やがて 私たちは結婚しました。 ひとつきも たたないうちに 彼は出征しました。 娘を授かったことも知らずに。 彼は 帰ってきませんでした。 遠い海に行ったきり 戻りませんでした。 私は 娘を連れて 家を出ました。 貧しくて 苦労もしましたけれど 幸せでした。 あの日… 娘の顔に傷をつけてしまうまでは』。

アニー『私は 娘を連れて 夫の実家に戻りました。 でも 歯車は狂ったきり止まりませんでした。 家業だったお菓子屋を再建したい。 義父の財力に頼らず 娘の傷を治してやりたい』。『若かった私は 自分の気持ちばかりで 大切なことを見失っていました。 幼い娘の胸の内を 本当には 分かっていませんでした』。『るい』。『るい…』。『お母さん あれから何べんも考えたんよ。 何で こねえなことに なってしもうたんじゃろうって』。『私ゃあ ただ るいと2人 当たりめえの暮らしが したかっただけじゃのに…』。

回想

(雨の音)

(雨の音)

回想終了

アニー『じゃけど 私ゃあ もう 向き合うことができなんだ。 ただ 消えてしまいてえと思うた。 るいの前から消えることが るいにしてやれる たった一つのわび方で そして 祈り方じゃあ そねえ思うた』。『るい』。『おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ』。『おいしゅう…』。『るい』。

磯村『え~っと あの… 本日は アニー・ヒラカワさん お迎えして お話を伺いました。 ありがとうございました。 さて ここで 一曲 お聴きいただきたいと思います』。

るい「お母さん…。 お母さん…。 お母さん。」

錠一郎「るい。」

るい「お母さん。」

桃太郎「お母ちゃんのお母さんなん?」

ひなた「アニーさんが… おばあちゃん…?」

桃太郎「お姉ちゃん!」

ひなた「えっ?」

桃太郎「アニーさんが いつまで日本にいてるか聞いてる?」

ひなた「えと…。」

桃太郎「とにかく引き止めよ!」

ひなた「そやな。 会社に電話してスケジュール聞くわ。」

トミー「それより 今の放送局に電話した方がええ。」

ひなた「あ… そうか。 確か あの局の番号 携帯に…。」

るい「私が…。」

桃太郎「お母ちゃん アニー・ヒラカワさんと面識があるんは お姉ちゃんや。 一番 話が早い。」

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