稔の部屋
るい「お母さん。」
安子「うん?」
るい「これから ずっと ここに住むん?」
安子「そうじゃ。」
るい「何で?」
安子「ここは るいが生まれた家じゃから。」
るい「ずっとお母さんと おれる?」
安子「当たり前じゃあ。 お母さんは 何があっても るいを離さん。」
朝丘町
(英語)
<安子は 生まれ育った 朝丘町を訪ねました>
<戦後の焼け野原から復興を遂げた町には 見知らぬ人たちが暮らしていました>
「な… 何じゃあ?」
安子「すみません…。」
「ごめんください。 絹 1丁ちょうでえ。」
きぬ「は~い ただいま。 はい。 毎度 ありがとうございます。」
「どうも。」
安子「きぬちゃん。」
きぬ「安子ちゃ~ん。 よかった~! 安子ちゃ~ん!」
安子「きぬちゃん。」
きぬ「安子ちゃん! よかった。」
安子「わあ~ きぬちゃんじゃ。」
きぬ「安子ちゃん!」
安子「わあ~ 本当に きぬちゃんじゃ。」
きぬ「どねんしたんで その腕。」
安子「ちょっと…。」
花子「あ~! 安子ちゃん!」
卯平「ホンマじゃ! 安子ちゃんじゃ!」
安子「おじさん。 おばさんも…。」
花子「聞いたで。 大変じゃったなあ。」
卯平「まさか… 金太さんや… 小しずさんまで…。」
安子「ご心配おかけして…。」
花子「算太ちゃんは? どねんしとるんで。」
安子「まだ行方知れずです。」
卯平「まあ あいつのことじゃ どこにおっても死にゃあせんわ。 なあ。」
花子「そう そうじゃわ。」
安子「しゃあけど 本当によかった。 おじさんも おばさんも お変わりのうて。」