大月家
回転焼き屋・大月
♬『まいにち まいにち ぼくらは てっぱんの うえで やかれて いやになっちゃうよ あるあさ ぼくは みせのおじさんと』
錠一郎「ただいま。」
るい「お帰り。」
♬『うみに にげこんだのさ』
錠一郎「まだ たい焼き売れてんねんな。」
るい「ホンマ いつまで続くんやろ…。」
♬『はじめて およいだ うみのそこ』
錠一郎「ええ曲やな…。」
るい「そうなん?」
錠一郎「うん。 みんなが心つかまれんの 分かるわ。」
♬『おなかの アンコが おもいけど』
賀茂川
ひなた「もう~ 結局 また 空き瓶探すしかないやん。」
一恵「ひなちゃ~ん!」
ひなた「あっ いっちゃ~ん!」
一恵「何してんの~?」
ひなた「空き瓶探し! あっ! あった! 一升瓶や。 30円や! えっ。 私が先に見つけたんえ!」
吉之丞「俺の方が先や!」
ひなた「うっ 離してえな。」
吉之丞「お前こそ 離せ!」
ひなた「うっ 離してえな!」
吉之丞「お前こそ… あっ!」
一恵「ひなちゃん!」
大月家
居間
一恵「おばちゃん! ひなちゃんのおばちゃん!」
るい「いっちゃん。」
一恵「ひなちゃんが… ガラスの瓶が割れて…。 ひなちゃんが… けが…。」
るい「ひなた…。」
錠一郎「あっ るい あかん。 走るな。」
ひなた「お母ちゃん。 ばんそうこう頂戴。 吉之丞が引っ張るさかい 空き瓶が割れてな。 びっくりして 転んでしもてん。 痛っ…。」
るい「はあ~。 よかった…。 顔 切ってたら どないしよか思ったわ。 はあ~ よかった…。 はあ よかった。 はあ~。」
洗面所
ひなた「お母ちゃん。」
るい「何?」
ひなた「今日は 心配かけて ごめんなさい。」
るい「もうええから はよ寝なさい。」
ひなた「うん。 おやすみなさい。」
るい「おやすみ。」
ひなた「お母ちゃん。 お母ちゃんのこれ 旗本退屈男みたいで かっこええな。」
玄関前
「こんにちは。」