連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第81話「1983-1984」【第17週】

ひなた「何で そない呼ばはるんですか?」

算太「う~ん あいつは昔 団五郎っちゅう名前じゃったんじゃ。」

ひなた「そしたら 団五郎時代からのお知り合いですか?」

算太「ああ。 思えば長えつきあいじゃ。」

ひなた「あの~ ホンマなんですか?」

算太「うん?」

ひなた「『妖術七変化』いう映画 ホンマは 先代と二代目のモモケンさんの 親子共演のはずやったて。 それ モモケンさんが拒否して 怒った先代が 当てつけで 無名の虚無蔵さんを抜てきしたて。 ももけんさんは 虚無蔵さんへの一世一代の嫌みで 左近役をオーディションをするて。 サンタさん。 何か知ってはりますか?」

算太「まあ… これでも見てけえ。」

<それは 初代桃山剣之介の映画の リバイバル上映のチケットでした>

ひなた「うん? どういうこと…?」

別日

♬~(テレビ)

ひなた「なあなあ いっちゃん。 今度の休み 一緒に行こうなあ。」

一恵「嫌やて。 一人で行き。」

ひなた「そうかて 2枚もろたんやもん タダなんやから行こ。」

一恵「タダほど高いもんあらへんわ。 何で そんな当たらへんかった映画 見に行かなあかんの。」

ひなた「いっちゃ~ん…。」

(足音)

ひなた「あっ 五十嵐。」

五十嵐「それ… 俺にくれ。」

ひなた「えっ?」

五十嵐「頼む。」

ひなた「何で あんたにあげなあかんの。」

五十嵐「オーディションに備えて 見ておきたいんだ!」

ひなた「欲しかったら土下座して頼みい。」

一恵「ひなちゃん!」

ひなた「冗談やて。 五十嵐はプライド高いから そんなこと…。」

五十嵐「頼む! このとおりだ! 俺に譲ってくれ~!」

ひなた「ちょっと ホンマにしんといてえな。 私が悪代官みたいやんか。」

五十嵐「頼む!」

電車

ひなた「(心の声)『何で…? 何で こいつと…。 まあ ええか。』」

大月家

回転焼き屋・大月

「ほな 行こか。」

「うん。」

「ものすごくおいしかった。」

「ねえ。」

錠一郎「あっ ありがとうございました。」

「ごちそうさま。」

「ごちそうさまでした。」

るい「おおきに ありがとうございました。 またね。」

「ごちそうさまでした。」

るい「どうも。」

錠一郎「あれ? ひなたは?」

るい「映画やて。」

錠一郎「へえ~。 誰と?」

るい「いっちゃんに断られたからいうて ほら 五十嵐君いうて あの 大部屋の。」

錠一郎「ああ いっつも熱々買う子か。」

るい「そう。」

錠一郎「何 見に行ったんやろ。 えっ!?」

るい「何の巡り合わせやろねえ。」

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