桃太郎「あっ 野球部です。」
算太「おっ 野球部。 強んか?」
桃太郎「どやろ。」
ひなた「桃は強いえ。 こないだレギュラーに返り咲いたや。」
算太「ああ 大したもんじゃが 勇ちゃんに似たんかのう。」
桃太郎 ひなた「勇ちゃん?」
算太「いや… おめえらの その… 父方の大叔父さんじゃ。」
ひなた「うん? うん? 算太大伯父さんは 何やったっけ?」
算太「わしゃあ 母方の大伯父さんじゃ。」
ひなた「あ… 何か 急に ぞろぞろ親戚ができるんやけど。」
桃太郎「大体それ どこの言葉?」
算太「うん? 岡山じゃ。」
ひなた 桃太郎「岡山?」
ひなた「えっ お父ちゃんもお母ちゃんも 大阪出身や思てた。」
桃太郎「僕も。」
るい「あんまり覚えてへんの。 岡山にいた頃のことは。 それに… もう縁も切れてるさかい。」
桃太郎「ふ~ん…。」
算太「わしが あ… 一緒に暮らしょうったん… るいが小学校上がる前じゃったからのう。」
ひなた「えっ それで そっから どないなったん?」
算太「どないて?」
ひなた「いや そやから 大伯父さんは どこで どうして暮らしてたん? お母ちゃん いつ大阪に出てきたん? あっ あと お母ちゃんのお母さんいうか あの~ 大伯父さんの妹いうか すなわち 私の桃のおばあちゃんは どないなったん?」
錠一郎「伯父さんは ダンサーなんですよね?」
算太「ああ そうじゃ。 もう… そらあ もう いろんなステージで踊りょうった。」
ひなた「ハハッ そや。 踊って 踊って。 もっかい見たいわあ。」
桃太郎「いや お姉ちゃん むちゃ言わんとき。」
ひなた「何が?」
桃太郎「何がて…。」
算太「ええか。」
桃太郎「うん?」
算太「ほれ。 見とき。」
桃太郎「うん。 ヘヘッ。」
ひなた「ハハハハッ。 すごい! パンが躍ってる。」
桃太郎「ホンマや。 すごい!」
ひなた「何 それ。 ハハハッ パンが躍ってんねん。」
桃太郎「すごい。」
(笑い声)
桃太郎「おおっ!」
ひなた「おおっ!」
台所
るい「小豆の声を聴けえ。 時計に頼るな。 目を離すな。 何ゅうしてほしいか 小豆が教えてくれる。」
回想
安子 るい「食べる人の幸せそうな顔を 思い浮かべえ。」
回想終了
るい「おいしゅうなれ。 おいしゅうなれ。」
回想
2人「おいしゅうなれ。」
回想終了
るい「その気持ちが小豆に乗り移る。 う~んと おいしゅうなってくれる。 甘えあんこが出来上がる。 ハッ!」
るい「おはようございます。」
算太「ああ。 おはよう。 あ~ よいしょ。 はあ~ 変わらんのう。」
るい「算太伯父さん。 どこへ行ってたん? あれから。 雉真の家から消えてから。 伯父さん。 ホンマのこと教えて。 あの時 伯父さんは 何で姿消したん? 何でお母さんは あないに慌てて 伯父さんを追って大阪へ行ったん?」
算太「そねん昔の話あ もう… ええじゃろう。 わしも よう覚えとらん。」