さくら「始まるよ。」
ミワ「…はい。」
<正直 一人で見る自身がなかったので さくらさんがいてくれて よかった>
<そして 番組は始まった>
テレビ『ボトルシップ作りは 彼にとって 欠かせないルーティーンの一つだ』。
テレビ・八海『かわいいでしょう』。
さくら ミワ「かわいい~!」
テレビ・八海『ふう…』。
さくら「ん~ ヤバい!」
さくら「何か不思議だよね。 事故に遭わなきゃ ホントは私があっち側にいたんだから。」
ミワ「はい…。」
さくら「あっ 別に 久保田さんを責めてるわけじゃないよ。 ほんのちょっとの違いで 人生変わるんだなって思っただけ。」
ミワ「はい。 あっ…!」
テレビ・ミワ『もう終わりましたので! すいません…』。
さくら「えっ あっ 久保田さん映った! えっ 待って… 何 あの動き。」
<そして 番組が終盤にさしかかった頃だった>
テレビ・八海『藤浦さん。 俳優を… やめたいと思うんですが』。
ミワ「え…。」
さくら「え…。」
テレビ・八海『今 入っている仕事を最後に 引退しようと思います』。
<私たちは番組が終わっても しばらく声を発することができなかった>
<こんなに落ち込むさくらさん 見たことがない…>
さくら「よし… 帰る。」
ミワ「もう遅いし 泊まっていきませんか。」
さくら「こんな八海サマだらけの部屋にいたら 余計に気がめいる。 やっぱり八海サマ 重い病気なんじゃないかな。」
ミワ「ふだん見ている限りでは お元気そうですけど。」
さくら「久保田さん。」
ミワ「はい。」
さくら「八海サマが引退する本当の理由 探ってよ。」
ミワ「…えっ。」
さくら「それが私からの 最後のミッション。 それじゃ。」
ミワ「ミッション… えっ。」
八海邸
寝室
池月「ねっ 昨日 放送見た?」
ミワ「はい。」
池月「引退するって びっくりしちゃった。」
ミワ「ショックです。」
池月「だから ここ最近 ピリピリしてたんだね。 藤浦さん。」
ミワ「八海さん どこか お体が悪いとかじゃないですよね?」
池月「ん… 毎年 健康診断 受けてるみたいだけど 特に問題ないって聞いてるよ。」
ミワ「それなら いいんですけど。」
池月「食事も いつもどおり召し上がってるしね。 別の理由があるんじゃない?」
ミワ「別の理由…。 一駒さんは 何かご存じですかね。」
池月「あの人 情報通だから 何か知ってるかもね。」
ミワ「聞いてみます。」
池月「あっ 待って。 今は やめたほうがいい。」
ミワ「えっ… どうしてですか?」
池月「一駒さん 番組に一瞬も映ってなかったの もしかしたら 気にしてるかも。」
ミワ「え… 一瞬も ですか?」