喫茶店
さくら「これ ネットに流したの あんただよね?」
紀土「ああ… うん。」
さくら「どういうつもり?」
紀土「いや ネットに流したほうが 目撃者が増えて 早く見つかると思って。」
さくら「いや ホント そういうとこだよ あんたは。」
紀土「まあ 今の俺にできることって これくらいしかないから。」
さくら「褒めてないから!」
紀土「えっ…?」
さくら「まだ事件性があるかどうかも 分からないのに 失踪とかいったら 八海サマに変なイメージつくでしょ。 こんなこと 外に漏らしていい情報なわけないじゃん。 何で そんなことも分からないの? バカなの?」
紀土「そこまで考えてなかった。」
さくら「そして その無駄な拡散力 何?」
紀土「俺だって よかれと思って。 早く見つかったらいいなって思った…。」
さくら「よかれと思って やることなんて 大抵 よくないんだからさ 余計なことしないでよ。」
(着信)
さくら「あっ 久保田さん。 はい 美羽です。」
ミワ『さくらさん ネットニュースって見ました?』
さくら「うん。 その情報を漏らした犯人が今 目の前にいるよ。」
ミワ『もしかして…。』
回想
紀土「八海 崇の失踪の件 ネットに流しちゃおうかなって 思うんだけど いいよね? もしもし もしも~し ミワちゃん?」
回想終了
ミワ『紀土くん… ですか?』
さくら「正解。 よかれと思って やったんだって。 代わる?」
ミワ『いや いいです。 マスコミも来てるし どうやったら火消しできますかね。』
さくら「どうやったら火消しできるか?」
紀土「無理だよ。 一度 拡散しちゃったものは 簡単には止められない。」
さくら「自慢げに言わないで。」
ミワ『例えば 八海サマの公式SNSで 失踪のうわさを否定するとか…。』
さくら「ん~ なんまり効果ない気がするな。 失踪したのは事実だしね。」
ミワ『ですよね。』
紀土「あっ いいこと思いついた!」
(指を鳴らす音)
さくら「何? 言って。」
紀土「例えば SNSの公式アカウントで 『私は今 どこにいるでしょうか?』 みたいなクイズを出して 目撃情報を集めるとか。」
さくら「却下。 八海サマは そんなことをするキャラクターじゃない。」
ミワ『そうですね…。』
紀土「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。 せっかくSNSがあるなら活用しないと。」
さくら「久保田さん どう思う?」
ミワ『私も ちょっと考えてみます。』
さくら「分かった。 じゃあね。 はあ…。」
ミワ宅
ミワ「SNSの活用… か。」
回想
藤浦「映画のプロモーションや宣伝を中心に やっていくんだけど…。」
凛「こないだの撮影だって ほら 何の撮影だっけ…。 ほら ミワさん 現場に来てたやつ。」
ミワ「『三分間のユートピア』。」
凛「そう。」