ミワ「全てわかってるんだぞ このニセモノめ…。 全てわかってるんだぞ このニセモノめ…。」
八海「まあ 私に無理なんだから 世界中の誰も 見つけることはできませんよ。 残念だけどね。」
ミワ「八海さん。 このセリフじゃないですか?」
八海「えっ!? はい これです!」
ミワ「よかった…。」
八海「これは自主製作で DVDにもなっていない作品なんです。 配信もしてないのに どうして あなたが…。」
<八海さんが喜んでくれた。 最高の人生の幕引きだ>
ミワ「八海さん 実は私…。」
八海「ありがとう。」
八海「ミ… ミワさん? ミワさん? ミワさん? ミワさん? ミワ… ミワさん?」
リビング
<ウソ… 私 気絶してた?>
藤浦「前から思ってたんですけど やっぱり ちょっと変じゃないですか? この家政婦さん。」
<え… 私の話?>
八海「ん~ そんなに変ですか。」
藤浦「今までの家政婦さんに比べて 感覚というか 雰囲気というか ふだん私たちが おつきあいのある方たちとは何か 決定的に違う気がするんですけど。」
八海「なるほど。」
藤浦「経歴を見ると それなりの方なんですが。」
<ごめんなさい それは全部ウソなんです…>
<そりゃ 感覚は合うわけないです>
八海「確かに 全く違う。」
藤浦「ええ。」
八海「イギリスに長くいたというのも どうやら事実ではないそうです。」
藤浦「えっ… えっ そうなんですか?」
八海「本人が そう言ってましたから。」
<胸が痛い… 本来ならば彼にとって ちりあくたにすぎない私の存在。 認識して下さっただけでも大変な誉れ。 なのに この胸の痛みは何…>
<そうか… フリーターも世界的俳優も関係ない。 やっぱり私は 八海 崇に恋をしていたんだ>
八海「今まで来てくれた家政婦さんは 国際的な感覚に長けていたと思いますが 彼女らと違ってミワさんは いい意味で日本人…。 それも 古い気質の日本人を感じます。」
藤浦「それは どういうことですか?」
八海「秘すれば花… というような美徳です。」
藤浦「秘すれば花?」
八海「例えば 彼女がきれいにしてくれた ボトルシップのプレート。 今までの家政婦さんなら やっておきましたと 報告してきた気がします。 でも 彼女はしない。 まあ 自分の能力をアピールするのは かつての私たちは ミワさんのように 黙って行動に移す人が 多かったように思います。」