連続テレビ小説「なつぞら」第71話「なつよ、千遥のためにつくれ」【第12週】

中庭

桃代「なっちゃん? 久しぶり!」

なつ「モモッチ。」

桃代「お昼? 一緒に食べよう。」

なつ「うん。」

桃代「どう 動画の仕事は もう慣れた?」

なつ「まだ全然…。 実際やってみると 本当に 何も分かってなくて… 外で お昼ごはんを食べる暇もないくらい。」

桃代「今日は大丈夫なの?」

なつ「大丈夫じゃないけど 今日は何となく モヤモヤしてて。」

桃代「モヤモヤ?」

なつ「今年の新入社員で 演出助手の坂場って人 知ってる?」

桃代「ああ 東大出身の?」

なつ「東大?」

桃代「哲学を専攻してたって。」

なつ「哲学?」

桃代「そういう情報は 仕上課にすぐ回るから。 その人が どうかしたの?」

なつ「う~ん… そんな人に 生意気なこと言っちゃった…。 でも すっごく変な人だった。」

桃代「う~ん アニメーションにしかできない表現か…。 逆に言えば 何でもできるからね アニメーションは。」

なつ「そう… 何でもできるから やりたいことが分かってないと ダメなのかなって。 その坂場っていう人が言うとおり…。」

桃代「やりたいことって何?」

なつ「それが 自分でも何なのか 分かってないんだわ。 どこに向かって 絵を描いてんのか そんなことも考えなくなってたんだ 私は…。」

桃代「アニメーターになったばっかりで そこまで考えることないんじゃない?」

なつ「だけど 向こうだって新人だよ? こっちよりも…。 早く名前 出したいなんて よく言えたもんだわ。」

桃代「名前?」

なつ「あ… ううん 何でもない。」

作画課

<なつよ 早速 あの青年が 君に影響を与えたようだな。>

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