田良島「えっ? 厨房も ホールも 洗い場も?」
暢子「はい。 できるところまでは 2人でやってみようと。」
矢作「おい 待てよ。 そんな話 聞いてねえよ。」
暢子「あっ もちろん 忙しくて 手が回らなかったら その時は…。」
和彦「僕も できる限り手伝いますから。」
暢子「和彦君は 自分の仕事で いっぱいいっぱいでしょ。 家事も手伝ってくれてるし。」
二ツ橋「最初から アルバイトを雇った方が いいんじゃないですか?」
田良島「うん。」
トミ「オープンの時は うちも大変だったもんね。」
順次「暢子ちゃんは 身重だしね。」
暢子「もちろん 健康には気を付けながら。 人件費の負担が多くなるのも 不安なんで。」
矢作「俺は ホールも洗い場も 一切やらねえぞ。 料理人として雇われたんだから 料理以外は 一切。」
智「何も そんな言い方。」
矢作「こういうことは 最初に きっちり決めかねえと。」
智「そうかもしれないけど…。」
矢作「俺は ホールは一切やらねえ。 配膳も 接客も 会計も 全部お前がやれ。」
智「暢子は 妊娠中なんですよ?」
矢作「関係ねえだろ。 俺は 単なる雇われの料理人。」
智「関係ないってことは。」
矢作「関係ねえだろ…。」
暢子「ちょっと 2人とも落ち着いてください。」
田良島「あのさ あのさ 今日の目的は あくまでも試食会なんだから。」
二ツ橋「そうですよ。 まあまあ 2人とも。」
暢子「矢作さん 分かりました。 料理以外のことは お願いしませんから。 あっ… うちたちも 座って一緒に食べましょう。」
矢作「時間なんで お先。」