連続テレビ小説「ちむどんどん」57話「古酒(くーす)交差点」

沖縄料理店・あまゆ

(ドアの開閉音)

和彦「ただいま。 うまそうな匂い。」

暢子「さーターアンダギー。 生地が余ったから。」

和彦「食べていい?」

暢子「別に いいけど。」

暢子「じゃあ お休みなさい。」

和彦「えっ 食べないの?」

暢子「あ~ 今 あんまり おなかが。」

和彦「えっ… そんなこともあるの? 何で?」

暢子「別に 理由は…。」

和彦「ねえ 明日は 朝早い?」

暢子「明日は お休みで 智と ごはん食べる。」

和彦「ねえ 一つ聞いていい? 暢子はさ 本当に 結婚願望ゼロなの?」

暢子「雑誌にも 書いてあったでしょ。」

和彦「僕はね 何か こう…。」

暢子「あ~… 眠気が。 お休みなさい。」

和彦「ちょっと 聞いて。 だから つまりさ…。」

暢子「あ~ やっぱり おなかすいてるかな。」

和彦「ねえ…。」

(戸をたたく音)

賢秀「暢子~!」

(戸をたたく音)

賢秀「暢子いるか~!」

(戸をたたく音)

暢子「ニーニー!」

賢秀「ヘヘッ うい。」

暢子「いいところに来たさー。」

賢秀「いいとろこ?」

暢子「うん。」

(匂いを嗅ぐ音)

賢秀「おおっ! サーターアンダギーか! ハッハッハッハ。 ん~! マーサンヤー! それよりよ…。 フン! 特別に 安く売ってやるさ。」

暢子「どうしたわけ? これ。」

賢秀「俺は ある人のために 人肌脱ぐ決心を固めた。」

暢子「何でよ?」

賢秀「俺は 生まれ変わった。 生まれて初めて湧き上がる感情に 驚いている。 お前たちは 恋をしてないだろう? まあ 暢子 とにかく 飯ちょうだい。 あっ 酒もヤー!」

(賢秀の鼻歌)

レストラン・フォンターナ
オーナー室

暢子「あれ? あ~ もう わじわじーする。 ありがとうございます。」

房子「覚悟はできてる?」

暢子「ん? 何の覚悟ですか?」

房子「行ってらっしゃい。」

暢子「行ってきます。」

ホール

智「おっ 似合ってるさぁ。」

暢子「何で わざわざ 着替えないといけないわけ?」

智「それを言うなら 何で フォンターナを選んだわけ?」

矢作「ご注文は…。」

暢子「Bのムニエルで。」

智「それを 2つ。」

矢作「承りました。」

暢子「たまには お客様目線で見たかったわけ。」

智「だけど ここでは デートにならないさ。」

暢子「デートって 別に…。」

回想

早苗「智ニーニー 子供の頃から ず~っと 暢子が好きだったのに。」

回想終了

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