沖縄料理店・あまゆ
(ドアの開閉音)
和彦「ただいま。 うまそうな匂い。」
暢子「さーターアンダギー。 生地が余ったから。」
和彦「食べていい?」
暢子「別に いいけど。」
暢子「じゃあ お休みなさい。」
和彦「えっ 食べないの?」
暢子「あ~ 今 あんまり おなかが。」
和彦「えっ… そんなこともあるの? 何で?」
暢子「別に 理由は…。」
和彦「ねえ 明日は 朝早い?」
暢子「明日は お休みで 智と ごはん食べる。」
和彦「ねえ 一つ聞いていい? 暢子はさ 本当に 結婚願望ゼロなの?」
暢子「雑誌にも 書いてあったでしょ。」
和彦「僕はね 何か こう…。」
暢子「あ~… 眠気が。 お休みなさい。」
和彦「ちょっと 聞いて。 だから つまりさ…。」
暢子「あ~ やっぱり おなかすいてるかな。」
和彦「ねえ…。」
(戸をたたく音)
賢秀「暢子~!」
(戸をたたく音)
賢秀「暢子いるか~!」
(戸をたたく音)
暢子「ニーニー!」
賢秀「ヘヘッ うい。」
暢子「いいところに来たさー。」
賢秀「いいとろこ?」
暢子「うん。」
(匂いを嗅ぐ音)
賢秀「おおっ! サーターアンダギーか! ハッハッハッハ。 ん~! マーサンヤー! それよりよ…。 フン! 特別に 安く売ってやるさ。」
暢子「どうしたわけ? これ。」
賢秀「俺は ある人のために 人肌脱ぐ決心を固めた。」
暢子「何でよ?」
賢秀「俺は 生まれ変わった。 生まれて初めて湧き上がる感情に 驚いている。 お前たちは 恋をしてないだろう? まあ 暢子 とにかく 飯ちょうだい。 あっ 酒もヤー!」
(賢秀の鼻歌)
レストラン・フォンターナ
オーナー室
暢子「あれ? あ~ もう わじわじーする。 ありがとうございます。」
房子「覚悟はできてる?」
暢子「ん? 何の覚悟ですか?」
房子「行ってらっしゃい。」
暢子「行ってきます。」
ホール
智「おっ 似合ってるさぁ。」
暢子「何で わざわざ 着替えないといけないわけ?」
智「それを言うなら 何で フォンターナを選んだわけ?」
矢作「ご注文は…。」
暢子「Bのムニエルで。」
智「それを 2つ。」
矢作「承りました。」
暢子「たまには お客様目線で見たかったわけ。」
智「だけど ここでは デートにならないさ。」
暢子「デートって 別に…。」
回想
早苗「智ニーニー 子供の頃から ず~っと 暢子が好きだったのに。」
回想終了