連続テレビ小説「ちむどんどん」61話「黒砂糖のキッス」

玄関前

暢子「はぁ~…。」

智「暢子!」

暢子「お~ 智。 どうしたわけ? その恰好。」

智「今日は あっちこっちに 独立の挨拶。 こないだは ありがとうな。」

暢子「ん?」

智「付きっきりで看病してくれたさぁ。」

暢子「ああ…。 今 バタバタしてるから…。」

智「あっ やんばる あさってから行ってくる。」

暢子「やんばる?」

智「おばさんに ちゃんと話してくるからよ。 俺たちのこと。」

暢子「ごめん。 今 忙しいから。」

ホール

暢子「はぁ~…。 はぁ…。」

二ツ橋「暢子さん。 困っていることがあるなら 相談してください。」

暢子「いえ 特に困っていることは…。」

二ツ橋「では やるべきことを きちんと やってください。 今のあなたを見ていると 以前 一緒に働いていた 先輩を 思い出します。 その先輩は 同じ店にいる女性に 10年以上 片思いしながら 働いていました。」

暢子「それって 後輩の話じゃ…。」

二ツ橋「先輩です。」

回想

暢子「プロポーズしたのは…。」

二ツ橋「私の 後輩です。」

回想終了

二ツ橋「先輩です。 オーナーは『あなたの気持ちに応えられない。 仕事に差し障るなら 十分な退職金と 紹介状を用意するわ』。 先輩は『いいえ 私は 決して 決して 個人的な感情を 仕事に持ち込みません!』。」

二ツ橋「先輩は もん絶するような 恋の悩みを 料理に集中することで 成長を遂げた。 暢子さんも 悩みがあるなら それを 仕事の原動力にしてください。」

暢子「偉いですねぇ シェフは。」

二ツ橋「後輩の話です!」

暢子「アゲ 先輩の話じゃ なかったんですか?」

二ツ橋「先輩… です。 先輩です。」

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