閉店後
田良島「向こうは 顧問弁護士を通じて 告訴するの 一点張りで。 恐らく 法外な治療費と慰謝料を 要求してくるかと…。」
二ツ橋「オーナー 私を クビにしてください。 この件の当事者は 私一人。 このお店には 関係ありません。 金を要求されるにせよ 告訴されるにせよ 私さえ解雇すれば 私個人の問題となるはずです。」
房子「いずれにせよ しばらく店は閉めます。」
暢子「臨時休業ということですか?」
房子「何より お客様に ご迷惑をかけたくない。 もちろん その間の手当は出すし その先のことも ちゃんと考える。 二ツ橋さん それでいいわね。」
二ツ橋「私は… 退職させていただきます。」
暢子「シェフ。」
房子「私は 認めていません。」
二ツ橋「暢子さん オーナーと このお店のこと よろしくお願いします。」
房子「私は 退職を認めません。」
そして
和彦「まだ帰らないの?」
暢子「また イタズラ電話が来た時 オーナー 一人だけだと…。 明日の重子さんのお弁当は 悔しいけど…。」
和彦「でも 帰って ちゃんと休んだ方が…。 行ってくる。」
暢子「えっ?」
(ドアベルとドアの開閉音)
(電話の呼び鈴)
暢子「はぁ…。 もしもし? いいかげんにしてください!」
比嘉家
良子「ごめん まだ仕事中って聞いたから ちょっとだけ ちょっとだけいい?」
暢子「あっ ネーネー?」
良子「うちは 今 デージ料理が 楽しくて 楽しくて。 だから ラフテーの作り方を 教えてもらおうと…。」
暢子「今 それどころじゃない。」
良子「そんな ひどことする人が いるわけ? 二ツ橋さんって人は どうなるわけ? 臨時休業は いつまでなの?」
暢子「分からん。 どうするかね。 このまま お店が潰れるようなことになったら…。 あっ お母ちゃんには 言わないでよ。 また 余計な心配かけるから。」
良子「分かった。 何もしてあげれなくて ごめんね。 話なら いつでも聞くから。」
暢子「ありがとう。 じゃあ またね。」
良子「またね。 ありえん… 絶対 許せない。」
レストラン・フォンターナ
(電話の呼び鈴)
暢子「はぁ…。」
房子「もういいから 帰りなさい。」
暢子「オーナー。」
房子「それと あなたに この前のこと 謝らなきゃ。」
暢子「この前?」
房子「和彦さんのお母様のお食事会。 迷惑をかけてしまって ごめんなさい。」
暢子「いや こんな時に うちの心配なんて。」
房子「とにかく 早く帰りなさい。」
暢子「あっ オーナー あの…。」
房子「あなたにできることはないわ。」
暢子「違うんです。 今夜は 飲みましょう!」
房子「ウフッ フッ… あなたという人は。」